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行政によるアートマネジメント人材育成事業の現状と課題 ——「とよたまちなか芸術祭」から市民と行政の〈好循環〉を考える——

安藤麻里亜

京都芸術大学アートプロデュース学科



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目次

序章

第一章 日本における文化政策のあゆみ
 第一節 文化政策とは
 第二節 文化政策の歴史


第二章 アートマネジメント人材育成の現状
 第一節 アートマネジメント人材とは
 第二節 市民ボランティアからアートマネジメント人材へ
 第三節 「アートマネジメント人材育成事業」の実践例


第三章 豊田市の文化政策
 第一節 豊田市が文化によって目指す姿
 第二節 市民によるアートプロジェクト推進事業」の事業体系
 第三節 アートマネジメント人材育成事業が生まれた背景


第四章 「とよたまちなか芸術祭」
 第一節 「とよたまちなか芸術祭」の概要
 第二節 「とよた市民アートプロジェクト」の概要
 第三節 アートマネジメント人材育成にまつわるあゆみ


第五章 「とよたまちなか芸術祭」が豊田市にもたらした成果と課題の検証
 第一節 「市民によるアートプロジェクト推進事業」行政からの評価
 第二節 現場からの評価
 第三節 行政、財団、現場の評価からみる「とよたまちなか芸術祭」の課題
 第四節 「とよたまちなか芸術祭」からみえるアートマネジメント人材育成事業の問題点
 第五節 〈好循環〉を目指して


終章



参考文献

序章

 本論文は、愛知県豊田市で開催されている「とよたまちなか芸術祭」を事例に、行政による、市民をアートプロジェクトなどが企画・運営できる人材として育成する「アートマネジメント人材育成事業」の現状と課題を明らかにし、行政による文化芸術への関与と市民のより良い関係づくりを考察するものである。
 筆者の出身地である愛知県豊田市では、2018年度より「第2次豊田市文化芸術振興計画」のひとつとして「市民によるアートプロジェクト推進事業」を開始、2025年度現在も継続して行われている。本事業の目的は、市民を対象に、アートプロジェクトなどを自主的に企画・運営できる人材として育成することである。
 筆者は、「市民によるアートプロジェクト推進事業」の一環として実施された「とよたデカスプロジェクト」や「とよたまちなか芸術祭」に参加したことを契機に、大学でアートプロデュースを学ぶようになった。つまりは、筆者もまた、豊田市の「市民によるアートプロジェクト推進事業」にアートマネジメント人材として育成された1人なのである。
 このような取り組みは豊田市だけではなく、他の地方自治体でも、市民コーディネーターや市民ディレクター、市民プロデューサーなど様々な名称で人材育成事業が行われている。しかし、行政が行う「アートマネジメント人材育成事業」には様々な課題があり、各所で行き詰まっているのが実情である。
 第一章では文化政策が何であるか、その定義と歴史を確認する。第二章ではアートマネジメント人材がどのようなものであるかを示し、市民への人材育成のあゆみを考察する。第三章では豊田市の文化政策及び「市民によるアートプロジェクト推進事業」の概要を確認し、その事業が生まれた背景を紐解く。第四章では「とよたまちなか芸術祭」と概要を確認するとともに、アートマネジメント人材育成にまつわるあゆみを述べる。第五章では、市民の1人として「とよたまちなか芸術祭」の企画・運営に携わってきた山岸大祐(1)(1984−)や、公益財団法人豊田市文化振興財団文化事業課の職員へのインタビューを参考に、アートマネジメント人材育成事業の成果や問題点を立証していく。そして最終的には、市民にとって有益なアートマネジメント人材育成事業のあり方を提案する。
 本研究で明らかにされる問題点は豊田市に限ったものではなく、日本全体で起こるアートマネジメント人材育成とも密接な関係があるだろう。アートマネジメント人材育成にまつわる市民と行政の課題を実情に沿って整理し、把握することは、市民の創造性を育て、自らの力でアートプロジェクトを企画・運営できる市民が増えていくための重要な基盤となる。本研究が、その一助となることを願っている。

第一章 日本における文化政策のあゆみ

第一節 文化政策とは
 行政による文化芸術の振興、つまり文化政策について整理しておく。
 富山大学芸術文化学部教授の伊藤裕夫(1948−)は「文化政策」を「人びとの精神的活動を促進(あるいは統制)し、そうした文化的成果の共有と蓄積を推し進めることで、私たちの暮らす国なり地域社会のあるべき文化イメージ──国民・市民によって習得・共有・伝達される行動様式や生活様式──を形成していく(2)」と述べている。つまり、学問や芸術などの精神活動を支援し、その成果を共有・蓄積することで、国または地域社会の文化イメージを形成してくことが「文化政策」が行われる意義とされているのだ。
 日本では、第二次世界大戦中に政府が文化芸術を戦意高揚のプロパガンダに利用し、政府の意向に沿わない文化活動を弾圧した反省から、戦後、長らく政府は文化活動に介入しない方針をとってきた。2001年にははじめて文化芸術振興基本法が施行され、その前文に「我が国の文化芸術の振興を図るためには、文化芸術活動を行う者の自主性を尊重することを旨としつつ、文化芸術を国民の身近なものとし、それを尊重し大切にするよう包括的に施策を推進していくことが不可欠である(3)」とあるように、あくまで「文化芸術活動を行う者の自主性」が優先されることを明記して、国として文化政策及び文化施策の推進を謳った。
 同法は、2017年に改正され、文化芸術基本法となった。その改正の趣旨は「今回の改正は、文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ、文化芸術そのものの振興にとどまらず、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の関連分野における施策を本法の範囲に取り込むとともに、文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用しようとするものです(4)」と説明されており、文化芸術を「活用」「役立てる」方向性が打ち出された。
 2016年に出された文化庁の文化政策部会第十四期の「文化芸術立国の実現を加速する文化政策(答申)―「新・文化庁」を目指す機能強化と2020年以降への遺産(レガシー)創出に向けた緊急提言―」の中では、以下五項目を【文化政策の目指すべき姿】として掲げている。「(1)あらゆる人々や場面をつなぐ(2)新しい文化の創造(3)社会的・経済的価値等への波及による好循環の創出(4)世界水準の文化芸術の創造と世界への発信・交流(5)文化芸術の担い手が継続的に活動できる環境の整備」である。国の文化政策の方向性としては、文化芸術の創造や発信・交流だけでなく、(1)あらゆる人々や場面をつなぐ、(3)社会的・経済的価値等への波及による好循環の創出など、文化芸術をコミュニティの創出や地域アイデンティティなどに活用するよう促す傾向が高まっている。

第二節 文化政策の歴史
 戦後、地方自治体による文化政策は、国よりも早くに動き始めていた。1950年代ごろから音楽や美術、演劇などに取り組む市民文化団体が急増したため、1970年代から1990年ごろにかけて、その受け皿となる文化ホールなどの公立文化施設の建設が急増した。「1990年代には全国で、3日に1館のペースで市民ホールがオープンした(5)」程である。一方で、多くの地方自治体では、建物はできたものの、市民文化団体に場所を貸す貸館業務や、興行会社から企画を買って講演を行う業務がほとんどで、独自の企画をたて実施できるノウハウや専門人材を備えた公立文化施設は少なかった。
 そうしたいわゆる「ハコモノ」の公立文化施設に対し、藤野一夫は『基礎自治体の文化政策−まちにアートが必要なわけ』の中で、森啓(生没年不明)が1991年に出版した『文化ホールがまちをつくる』を引用し、森が「重要なことは、文化ホールは受け身の貸館ではなく、地域を文化的なまちにするために能動的な主体とならなければならない(6)」と主張したことを取り上げている。
 藤野は、「若者の『文化ホール離れ』が目立って(7)」きた結果、「文化行政の衰退に代わって1990年代後半から注目されるようになったのがアートマネジメントである(8)」と述べている。地域に文化芸術を根ざすための場所であった文化ホールは若者に受け入れられず、新しくアートマネジメントが注目を浴びた。地方芸術祭や地域アートプロジェクトのように、地域に文化芸術を根ざす取り組みは地方行政が整備した文化ホールなどの公共文化施設を飛び出し、次のフェーズへと進んでいる。

第二章 アートマネジメント人材育成の現状

第一節 アートマネジメント人材とは
 そもそも、「アートマネジメント人材」とは一体どのような立場を指すのだろうか。
 文化政策学者の野田邦弘(1951−)は、「アーツ・マネジメントは、経営学(マネジメント)の文化活動への応用として1960年代アメリカで発達した新しい学問である(9)」と述べている。
 野田は、同志社大学経済学部経済学科教授の河島伸子(生没年不明)が2005年に述べたアートマネジメントの機能を引用し、(1)文化活動そのものの企画(企画的マネジメント)、(2)団体の経営実務(資金獲得、会計、マーケティングなど)、(3)文化と社会を結びつける作業(支援者を含む社会との関係マネジメント)の3つを挙げている。アートマネジメントには、企画・運営だけでなく、経営実務も含まれるのだ。
 文化庁の2009年の第五期文化政策部会では、「アートマネジメント人材等の育成及び活用について」という議題が挙げられており(10)、「アートマネジメントは、文化の作り手と受け手をつなぐ役割を担うもの(11)」、と定義され、「各地に多くの劇場・ホール等の文化施設が整備されてきたが、ソフト面の充実が課題となっており、アートマネジメントの役割を担う人材の充実が必要(12)」とその必要性を記述した。さらに2009年当時の現状について、「アートマネジメント人材のキャリアアップについては、何かを学んだとして、それがその後どうつながっていくのか目標を持てない状況にあるのではないか(13)」「アートマネジメント人材として、どういう人がいるのかという情報が少なく、同じ人ばかりに仕事がいくような状況になっている(14)」などの課題を挙げている。
 さらに2016年11月に出された文化庁第十四期文化政策部会の提言(15)の中では、「芸術家はもちろんのこと、地域の伝統芸能の継承者や、文化芸術に関する技術者・技能者、アートマネジメント従事者、美術館、博物館、劇場、音楽堂等における学芸員や各種専門職員等文化芸術活動に係る人材の養成及び確保を図ることが重要である(16)」と述べている。芸術家、つまり文化芸術の作り手だけでなく、文化芸術を社会に繋げるアートマネジメント人材、及びその育成が重要であると指摘している。

第二節 市民ボランティアからアートマネジメント人材へ
 本章第一節では、アートマネジメントがどのような立場・能力を持つ人材かを整理し、その重要性が高まっていることを確認した。しかし、これまで述べてきたアートマネジメント人材は、学芸員などと並ぶ専門職、つまりは対価を得るプロフェッショナルとしての職能である。
 本論文で扱う「市民」をアートマネジメント人材として育成する「市民を対象とするアートマネジメント育成事業」の始まりを確定する根拠となる資料は見つけることができなかった。だが、2005年2月に出された文化庁の文化審議会文化政策部会報告書「地域文化で日本を元気にしよう!」では「今日では、住民、文化芸術団体、企業等が文化芸術活動の主体となり、行政と対等な関係においてパートナーシップ(協力関係)を結び、相互に連携・協力することにより、新しい発想で地域の特性を掘り起こし、それぞれの地域が互いに個性を競い合う中で発展していこうとする傾向が生まれている(17)」と述べている。また、「地域の文化芸術活動を活性化する人材をいかに育成し、登用するか」という課題に対しては「地域住民が文化ボランティアとして参加しやすい仕組みをつくる(18)」という方策が示されている。2002年に制定された愛知県春日井市の「市民メセナ基金条例」の事例では、活動への理解を得るために、「文化ボランティアの育成」に基金が活用され「将来的には地域の文化芸術活動の中心となる人材を育成し、地域の文化芸術活動を行政主導から民間主導へと進めることを目標としている。(19)」とし、ここで市民に対する「人材育成」という文言が登場した。
 これらの事例を合わせて推測すると、行政が市民に優れた芸術作品に出会う機会を提供する鑑賞事業が主流だった時代から、市民が主体性を持って文化芸術活動を起こしていくよう促していく動きと、文化ボランティアという関わり方が合わさり、行政が「主体的に文化事業の企画・運営に関わる市民」というものに注目し始めたのではないだろうか。そして「文化ボランティア」が「アートマネジメント人材」へと変化し、その関わり方や責任も大きくさせた「市民を対象とするアートマネジメント人材育成事業」が始まったと考えられる。

第三節 「アートマネジメント人材育成事業」の実践例
 「市民を対象とするアートマネジメント人材育成事業」は数多く開催されている。筆者が調べたところでは、「神戸文化ホールアートマネジメント人材養成事業2025(20)」(主催:公益財団法人神戸市民文化振興財団)、「連続講座「共生社会実現のためのアーツマネジメント入門(21)」(主催:京都市)、「アートマネジメント講座 はじめてのイベント企画(22)」(主催:松山市文化創造支援協議会)などが挙げられる。本節では、そのうちの1つ、大阪府豊中市の実践例を紹介する。
 大阪府豊中市では、2019年から豊中市立文化芸術センターが主催する人材育成事業「とよなかARTSワゴン」が開催されている。キャッチコピーを「目指すは、豊中で活躍する、豊中を代表するアーティストとコーディネーター(23)」とし、レジデントアーティスト(演奏家)と市民アートコーディネーターを育成する講座やワークショップを開催している。その活動を紹介した『地域創造レター8月号No.363』(2025年7月25日発行)によると、アーティスト(演奏家)育成は、小学校へのアウトリーチができる人材が育つなど一定の成果を生み出している。市民をアートマネジメント人材として育成する「市民アートコーディネーター育成プログラム」では、毎年、まず7回程度のアートマネジメント講座を開催し、それを修了した受講生を対象に、翌年、企画制作ワークショップを9回程度開催するなどプログラムはあるが、そこから市民による企画が実施されたという記載はない。『地域創造レター』では、「レジデントアーティストの音楽活動を支える人材育成として始まった市民コーディネーター育成プログラムは市民の幅広い関心に応えるにはどうすればいいか思案の真っ最中だ」とあり、主催するセンター側及び豊中市の意向や想定と、市民の関心や要望がずれている状況が報告されている。これは、本章第一節で引用した「何かを学んだとして、それがその後どうつながっていくのか目標を持てない状況」というのが、受講した市民たちの率直な心情として現れた結果なのだろう。

第三章 豊田市の文化政策

第一節 豊田市が文化によって目指す姿
 愛知県北部三河地⽅に位置する豊⽥市は、2025年度11月時点で人口約40万⼈の中核都市である。戦後の復興とともに主に⾃動⾞産業で賑わいを⾒せ、現在は「くるまのまち」として知られている。かつては蚕業や農業を中⼼に「働く⼈のまち」であり、⽇本の⾼度経済成⻑期とともに⾃動⾞産業が著しく発展すると、その収益によって潤った市は社会インフラの整備を重点的に行ってきた。その一環に、⽂化のインフラとして⽂化芸術センター(24)や豊田市民文化会館(25)が建設されてきた(26)
 それらの文化施設の多くを管理・運営しているのが公益財団法人豊田市文化振興財団(以下、財団)であり、さらに豊田市が主催する文化事業の多くを請け負っている。本論文で扱う「市民によるアートプロジェクト推進事業」も、財団の文化事業課が実質的な運営者である。
 文化事業課(以下、財団文化事業課)は、財団の中でも文化部に位置する。「財団の中枢を担う文化のプロデューサー集団(27)」として、「社会との関係を市民文化の文脈で問い続けています(28)」とその理念を掲げている。その活動は市民文化事業と文化団体事業に区分され、「市民文化事業は、財団が地域の文化振興を図るために政策的に実施する事業で、専門性を活かした時代や社会への参画・貢献など、心豊かな市民文化を啓発する」もの、文化団体事業は、「豊田文化団体協議会活動、文化情報事業、カウンセリングやアドバイス、多様な市民文化をサポートする」ものとしている。つまり、「市民によるアートプロジェクト推進事業」は、豊田市の文化政策として計画され、財団文化事業課がその具体的な実施方法や運営を担うという構図である。
 では、豊田市全体の政策の基盤である総合計画を確認する。2017年度に発表された「第8次豊田市総合計画」の中では、「つながる つくる 暮らし楽しむまち・とよた」を将来都市像に掲げてそれを実現するための2017年度から2024年度までの8年間の実践計画が示されている。その8つの基本施策(29)のうち、文化に関する事業は基本施策Ⅱ「生涯学習 生涯を通じて学び・育ち、誰もが活躍できる町の実現」に位置付けられている。その中でⅡ-3-(2)「文化芸術を生かしたまちの魅力づくりの推進」の施策の柱②に「文化芸術活動を担う人材の育成」があり、主な実践計画事業として、「市民によるアートプロジェクト推進事業」が挙げられている。
 次いで、文化振興課が策定した2018年度の「第2次豊田市文化芸術振興計画」を見ていく。同計画の「策定の趣旨」では、以下のように述べている。

 2017年3月に制定した「第8次豊田市総合計画・前期実践計画」の基本施策には、「文化芸術を生かしたまちの魅力づくりの推進」が位置付けられました。
 近年、急激な少子高齢化・グローバル化の進展など社会の状況が著しく変化する中で、文化芸術に求められる役割や重要性が再認識されています。住民参加型のアート・プロジェクトが地域振興やまちづくり、観光に貢献する事例が各地でみられ、文化芸術が様々な分野で多様な効果をもたらすことが注目され始めています。

 ここでは、各地で「住民参加型のアート・プロジェクト」のもたらす効果が多数あると触れ、アートプロジェクトが地域の魅力づくりに貢献する有効な手立てであると述べた。さらには、市民が主体的に活動できる環境づくりが行政の仕事であるという認識が伺える。
 「第2次豊田市文化芸術振興計画」は、2022年3月に中間の見直しが行われたが、「市民によるアートプロジェクト推進事業」については2025年度まで事業の継続が示されている。市民が主体的に行う活動を促す文化政策として、豊田市でも「市民を対象とするアートマネジメント人材育成事業」が行われるようになったと思われる。

第三節 アートマネジメント人材育成事業が生まれた背景
 アートプロジェクトを企画・運営できる市民、つまりアートマネジメント人材の視点から豊田市内で行われたアートプロジェクトや文化事業と豊田市のアートマネジメント育成事業の関係を探っていく。

・「とよたデカスプロジェクト」事業の背景
 豊田市では、2010年から現代アーティストのかとうさとる(34)が主となりプロジェクトチームを立て、「農村舞台(35)アートプロジェクト」を立ち上げた。「農村舞台アートプロジェクト」では、かとうは「アートで地域の絆を繋ぐとともに、新たな市民文化を発信するアートイベント(36)」として農村舞台をアートやライブといった表現空間として甦らせた。「農村舞台アートプロジェクト」は、市民が主体的に立ち上げたアートプロジェクトとして「文化庁も下見に来豊するなど地域に根差したアートイベントのロールモデルとして注目を集め(37)」た。この成果を得て豊田市では2013年度から、財団文化事業課と豊田市が主催する事業として「とよたデカスプロジェクト」が始まり、2017年度からは「市民によるアートプロジェクト推進事業」に組み込まれた。
 2014年度の公募では、CMプランナーであったオオノユキコが主宰した《足助ゴエンナーレ(38)》が大賞を受賞した。本研究で扱う「とよたまちなか芸術祭」において運営を担った山岸大祐も「SHIMAYAGI ART」というユニットで、「とよたまちなか芸術祭」立ち上げ前にこの事業に二年にわたって採択されている(39)
 「とよたデカスプロジェクト」は、オオノや山岸のように自ら企画し、実践できるアートマネジメント人材の発掘の場として機能していたと言えるだろう。同事業は「アートマネジメント人材育成事業」の一つとして位置付けられているが、実際は公募という「きっかけ」と予算、広報サポートを提供しただけである。豊田市においては、アートプロジェクトを主体的におこす能力を持った人材が既に在り、彼らに場と機会を提供することで「アートマネジメント人材の誕生」に至ったのだ。
・「とよた市民アートプロジェクト」事業及び「とよたまちなか芸術祭」事業の背景
 2017年、「あいちトリエンナーレ2019(40)」の開催を前提(41)に、豊田市はアーティストユニット「Nadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子)」(Nadegata Instant Party)(以下、ナデガタ)を招聘した。
 ナデガタは、豊田市が市民を中心に立ち上げた事業「とよた市民アートプロジェクト」によるアートプロジェクト「Recasting club」のディレクターという位置付けで、「まちに、人に、場所に、新たなるクラブ/場をキャスティングする(42)」をコンセプトに、使用されなくなった建物や場所に役割を与えて、新しい「クラブ/場」を創造していった。代表的な活動に、旧豊田東高等学校跡地で行われた《HYBRID BUNKASAI》(43)、廃業した旅館を使った《TPAC》(44)がある。
 「あいちトリエンナーレ2019」を終えた2020年、コロナ禍によるイベント自粛や活動拠点であった旧豊田東高等学校跡地の博物館建設工事により《HYBRID BUNKASAI》及び、2020年に「Recasting club」の活動は終了していった。
 だが、これらの活動に関わった市民からは、アートプロジェクトを企画したり参加したりといった活動を自ら起こしたいという人が現れてきた。その熱意の受け皿となったのが、2020年から始まった「とよたまちなか芸術祭」である。

第二節 「市民によるアートプロジェクト推進事業」の事業体系
 次に、「市民によるアートプロジェクト推進事業」について詳細を記述する。
 豊田市は2017年度〜2024年度の「第8次豊田市総合計画」にてこの事業を発表し、その目的を「市民主体の文化芸術活動・発表の場を創出し、文化芸術に関わる人材の発掘・育成を促進(30)」としている。具体的な事業は、(1)「とよた市民アートプロジェクト」、(2)「とよたデカスプロジェクト」の2つである。前者は主に、公共空間や店舗にて展示を行うイベント「とよたまちなか芸術祭」を市民主体で開催することを指す。後者はアートプロジェクトを公募し、実施をサポートする助成事業として行われている。
 本事業では、市民の文化芸術に対する関わり方を5つの段階に区分している(図1を参照)。2023年9月に開かれた、第2回豊田市文化芸術振興委員会の資料「市民によるアートプロジェクト推進事業の体系図と実績」によれば、まず市民を「文化活動関心がない人・文化活動をしていない人」と「文化芸術を楽しむ人・文化活動をしている人」の2つのグループで捉え、後者をさらに4つのグループに分けている。まず、趣味や自己満足を目的としている「初級」、経験者や発表願望のある「中級①」、文化芸術が生きがいになっている「中級②」、そしてプロとして活動し普及活動を担う「上級」の四グループであり、初級から中級、さらに上級へと、市民が文化芸術への関わりを深めていくよう、各事業が位置付けらされている。さらに、初級よりも前の段階である「関心はあるが活動はしていない層」、言い換えれば〈埋もれている〉とも捉えられる層についても働きかけ、市民の文化芸術活動の底上げを図っている。
 「とよた市民アートプロジェクト」は、初級から中級①までの市民に対応した事業であり、「文化芸術(アート)活動をする市民の育成と発掘(31)」、「文化芸術(アート)活動への関心層のすそ野を広げる(32)」を目的としている。初級の市民には鑑賞者やボランティアとしての参加、中級の市民には自作の作品を展示する、アート情報のライターとして活躍するなどの例が示されている。
 「とよたデカスプロジェクト」は、中級①以降の、いわば既にアートマネジメント人材となった人に対応した事業であり、「アートプロジェクトを総合的にマネジメントできる人材を発掘し、スキルアップ(33)」することを目的としている。具体的には、市民が企画したアートプロジェクトを市民自らが実施していけるよう、費用や広報をサポートしている。

第四章 「とよたまちなか芸術祭」

 本章からは2020年度から2025年度まで継続して行われている市民を主管としたアートプロジェクト「とよたまちなか芸術祭」に注目して記述する。市民の立場で第一回開催から運営に関わった山岸へのインタビュー内容も参考にしている。

第一節 「とよたまちなか芸術祭」の概要
 「とよたまちなか芸術祭」は、豊田市と財団文化事業課が主催となって行われる芸術祭である。豊田市中心部である豊田市駅周辺を舞台に文化施設や駅前広場、近隣店舗などを会場として作品展示やマルシェ、ライブパフォーマンスなどが行われる。観覧者が歩いて芸術祭を回ることを想定した回遊型で構成され、1日あれば十分に芸術祭を楽しむことができる。外部からアーティストを招待する場合もあるが、基本的には公募形式で展示やマルシェ、ライブパフォーマンスなどの出展者を募っており、市民の文化芸術の発表・鑑賞の場となっている。

第二節 「とよた市民アートプロジェクト」の概要
 芸術祭の主管は「とよた市民アートプロジェクト」であり、その事務局は財団文化事業課に設置されている。
 現在の「とよた市民アートプロジェクト」は、大きく2つのことを目的に行われている。1つが「文化芸術(アート)活動をする市民の育成と発掘(45)」であり、アーティストらを、動く人=「プレイヤー」、企画・運営者を、動かす人=「マネージャー」と表現している。さらに、もう一つの目的「文化芸術(アート)活動への関心層のすそ野を広げる(46)」では、鑑賞者や参加者を楽しむ人=「ファン」、イベントなどのボランティアを関わる人=「サポーター」とした(47)。これら四者が活動する機会、ネットワークの場となるのが「とよた市民アートプロジェクト」という設計である。
 豊田市の文化政策である「市民によるアートプロジェクト推進事業」の階層に準えるのであれば、「ファン」や「サポーター」が初級人材や中級①人材であり、「プレイヤー」が中級②人材、「マネージャー」が上級人材に対応している。本論文では「アートマネジメント人材育成」に該当する「マネージャー」に注目して記述を進めるが、豊田市では芸術祭やアートプロジェクトへの市民の関わりに関してもこの四つの段階を意識して事業が構成されていることを記述しておきたい。

第三節 アートマネジメント人材育成にまつわるあゆみ
 本節では、芸術祭のこれまでを特に運営面、アートマネジメントの側面に注目して整理していく。(48)

①立ち上げ:2020年度(表1を参照)
 第一回目は、「とよたまちなか芸術祭〜Re:HYBRID BUNKASAI〜」という名称で、2021年2月28日から3月30日までの31日間、市内9カ所で、公募による市民作品の展示、パフォーマンス、マルシェなどが行われ、2685人の来場者が訪れた。
 名称に「Re:HYBRID BUNKASAI」とあるように、芸術祭の誕生には「HYBRID BUNKASAI」の存在が大きく関わっている。初年度から運営側の市民として参加していた山岸はインタビューで、「当初は《HYBRID BUNKASAI》をもう1年やるという話もあった」そうだが、コロナ禍や活動拠点が使えなくなったことを受けてその計画は無くなったと話した。その分の事業予算の使い道として、市民によるアートプロジェクトができないかと模索した結果が、「とよたまちなか芸術祭」である。
 企画・運営つまりアートマネジメントは、展示チーム、広報チーム、回遊チーム、サインチームの四チームで行われ、それぞれ1人から2人ずつがリーダーとなった。メンバーは7名であったが、展示チームの山岸はインタビューで、自身を含む実行委員会はみな「Recasting club」のメンバーであったとも語っている。また、当初は「Recasting club」のメンバーとしてもう1人いたが方向性の違いから途中離脱し、デザイナーを除き6人体制になった。

②2021年度〜2022年度(表2を参照)
 第二回目は、《まじわる、はぐくむ》という芸術祭タイトルで、2021年12月4日から12月25日までの22日間開催された。市内13ヶ所で、公募やセレクトアーティストによる展示、パフォーマンスやマルシェなどが行われ、4785人の来場者が訪れた。第三回目では、《おもい まなざす 知の技術》という芸術祭タイトルで、2022年10月8日から10月30日までの23日間開催された。市内5ヶ所で、公募やセレクトアーティストの展示に加え、ブックマーケットなどが行われ、4483人の来場者が訪れた。
 第二回以降の開催では「Re:HYBRID BUNKASAI」の表記はなくなり、運営にはプログラムディレクターやコーディネーターといった肩書きが使用されている。第二回ではコーディネーターに山岸を含む4名が名を連ね、第三回では山岸のみがプログラムディレクターになり、コーディネーターに他1名が就いた。第一回にいた他のメンバーの名前は無くなり、山岸のみが残る形となった。また、主催は公益財団法人豊田市文化振興財団と豊田市、主管は「とよた市民アートプロジェクト」となっている。
 この2年間に共通する点は「とよたまちなか芸術祭ラボ」が行われたことである。詳細は年度によって異なるが、公募で集まった大学生ら(第二回では11名、第三回では5名)が研究生となり、山岸らコーディネーターからマネジメント講座を受け、実践を行った。また、インターン制度も導入されている。これらの企画・設計は山岸が行った。「とよたまちなか芸術祭ラボ」とは、運営側の人材不足を補う目的と、後継者育成の場として機能させようとした取り組みである。つまりは、アートマネジメント人材育成事業である「市民によるアートプロジェクト推進事業」の中の「とよたまちなか芸術祭」の場で、市民である山岸がアートマネジメント人材の育成の場をつくるという複雑な様相になっていたのだ。
 また、第一回では実行委員会メンバーは無償ボランティアという形で動いていたが、山岸が「お金が払われて仕事はなされるべき」と財団文化事業課に掛け合い、第二回からは事業費の中に山岸らの人件費が含まれるようになった。

③2023年度(表3を参照)
 第四回目は、《まちなかアートな、3日間の祭典》という芸術祭タイトルで、2023年11月3日から11月5日までの3日間開催された。市内四ヶ所で、公募による展示、オープニングセレモニーやクロージングパフォーマンスなどが行われ、1072人の来場者が訪れた。
 2023年度からの組織運営はこれまでとは大きく変わった。山岸が事業委託として財団文化事業部から予算を預かり、「とよた市民アートプロジェクト」全体のプログラムを設計する立場になった。山岸は、事業テーマを「交流(Communication)」と設定し、山岸が立ち上げた任意団体「とよた市民アートパーティー」(49)が、交流事業と文化事業の2つのプログラムの運営を担った。「とよた市民アートパーティー」はお花見や七夕など、季節に合わせた月1回のイベントを1年に渡って開催し、アートに縁がなかった市民も気軽に参加できる場をつくった。山岸は、インタビューの中でこの定期的なイベント開催について、「チームビルディングに良い効果を生んでいた」という。それらに予算を投じた関係で芸術祭本体は縮小し、3日間のみの開催となっている。また、「とよた市民アートパーティー」による「とよたまちなか芸術祭」の企画・運営は2025年度まで継続されている。

④2024年度(表4を参照)
 第五回目は、《booost》という芸術祭タイトルで、2024年10月26日から11月3日までの8日間開催された。市内7ヶ所で、公募やセレクトアーティストによる展示、オープンマーケットやトークツアーなどが行われ、2566人の来場者が訪れた。
 2024年度では山岸はディレクターを務め、アシスタントコーディネーター、アートディレクター、サポートメンバーの5名が加わり、サポートメンバーには2021年度の「とよたまちなか芸術祭ラボ」に参加していたメンバーもいる。また、山岸らが運営していた「とよたまちなか芸術祭ラボ」のような育成講座は財団文化事業課の職員の担当となり、公募で集った芸術祭内でイベントを⾏いたい市民による「つくるチーム」が立ち上がった。だが、財団文化事業課が担当したためか、山岸らが作成した事業報告書にはその内容や実施されたイベントの記述はない。「つくるチーム」の活動に足を運んだ⼭岸は、インタビューで「市民側は経験がない上に個々の主張が強くまとまらず、財団職員側もどのように進めたらいいかわからない様子だった」と話した。

⑤2025年度(表5を参照)
 第六回目は、《Stereo 点のありかを探る》という芸術祭タイトルで、2025年10月17日から10月26日までの10日間開催された。市内6ヶ所で、公募やセレクトアーティストによる展示、コミュニケーションスペースやスタンプラリーなどが行われた。
 2025年度は、山岸はアドバイザーとして一歩離れて見守る立場になり、プログラムディレクターには昨年アシスタントディレクターを務めた小田ビニシウス(50)が、クリエイティブディレクターには森本真由(51)が、アシスタントコーディネーターには昨年サポートメンバーだった2名が就任した。育成講座は「とよた市民アートパーティー」が務め、公募で集まった大学生から新社会人8名による「mono club」によって、芸術祭期間のコミュニティスペースの企画・運営を行うプログラムが設計された。

第五章 「とよたまちなか芸術祭」がもたらした成果と課題の検証

第一節 「市民によるアートプロジェクト推進事業」の行政からの評価
 2023年9月21日の豊田市文化芸術振興委員会会議資料「市民によるアートプロジェクト推進事業の今後の方向性(案)について」では、「市民によるアートプロジェクト推進事業」について振り返り、以下のように課題を挙げた。

①とよた市民アートプロジェクト
・コロナ禍の影響で交流機会が激減し、活動者間のつながりが希薄化している。
・「魅力ある文化イベント」としての認知度や関心がまだまだ低い。
②とよたデカスプロジェクト
・地域等の巻き込みや、魅力の発信が十分にできていないプロジェクトが多い。
・マネジメントできる人材がさらにスキルアップするための取組が不十分。
③2事業共通
・人材育成に注力した場合、作品やプロジェクトの質が担保できず、魅力の発信が難しい。
・魅力の発信に注力した場合、作品やプロジェクトの質にこだわるため、人材育成が難しい。

 行政には、本事業で市民への「人材育成」と、まちの「魅力の発信」(52)を同時に推し進めるねらいがあった。しかし、③の「2事業共通」で述べられているように、「人材育成」と「魅力の発信」を両立するには、アートプロジェクトの「質」が課題だとされていた。では、ここでいう「質」とは何か。「魅力の発信」をどのように測るのか。来場者数などの数値で測るものだとすれば、それは市民が担うものなのだろうか。

第二節 現場からの評価
 では、「とよたまちなか芸術祭」の企画・運営を担う現場からの評価はどういったものだっただろうか。筆者は、2024年10月1日に山岸に、2025年10月15日に財団文化事業課の「とよたまちなか芸術祭」担当職員に事業立ち上げと企画・運営、その成果に関する聞き取り調査を行った。

・財団職員への聞き取り
 担当職員によれば、財団は市民自らが積極的かつ持続的に文化事業に関わり作り上げることが市にとって有益と考えており、「市と一緒にマネジメント人材を育てる」という方向性を豊田市と共有し、「市民によるアートプロジェクト推進事業」が始まった。「市にとって有益」とは、「まちのあちこちで文化的な、アートな面白いことが立ち上がる」という状況を意味している。この状況を作るためには、「職員がやっているだけでは日常的には起きないので、それは市民が自らやることによって日常的に起こる」と語った。
 「あいちトリエンナーレ2019」の開催を前にナデガタを招聘した2017年当時について、「(財団・市職員を含め)みんな素人集団だった」と語り、地域の中で市民とともに行うアートプロジェクトの企画・運営は未経験だったと語った。だが、ナデガタとともに「Recasting club」のアートプロジェクトを実施していく中で、「アートのことに一歩足を踏み入れてみようという市の人間や財団の人間が圧倒的に増えた」と言い、「そこで初めてノウハウを手に入れようと努力した」と振り返った。
 「とよた市民アートプロジェクト(『とよたまちなか芸術祭』)」の事業評価については、文化事業の評価の難しさを話しつつ「人材が成果だと思っています」「具体的に言えば、山岸さんの存在そのもの」と語っていた。「『とよた市民アートパーティー』って、いわば山岸さんみたいなものなんですよ」とも述べており、山岸は財団にとって重要な人材であり、期待もかけられているようであった。

・山岸大祐への聞き取り
 「とよたまちなか芸術祭」の立ち上げには、山岸は「Recasting club」にコアに参加していたメンバーよりも遅れて参加した(53)。当時の財団文化事業課職員から声をかけられて展示チームの一人として関わるようになったが、「最初は、言い方悪いけど丸投げされたような」感覚だったという。「回遊型の小規模な展示なら、人をたくさん集めなくても成立する。コロナ禍でもできるんじゃないか」と分業を前提に引き受けたが、「結局、展示をどうするかは僕が全てやって、大変だった」と振り返っている。
 第一回の運営が無償ボランティアだったことに関しては、「(やりがいや地域への愛着など)お金じゃない部分で動くだろうっていうのに(行政が市民に)甘え過ぎている」と豊田市・財団への苦言を口にした。山岸は豊田市の出身だが、学生時代は「豊田じゃアート活動できないと、志の高い人ほど離れていく」という印象を抱いており、アートプロジェクトによって豊田市民にアートを浸透させることをやりがいとしていた。そのため、他の人の分まで自身が仕事を引き受けることになってしまうケースが多くあったようだ。
 また、「豊田の場合は意思疎通がうまくできていなくて、(豊田市や財団事業部と、運営側の市民で)意義が共有できていない。(現場は)なんでこの事業をやるのかっていう、腑に落ちてないままやっている」と、行政の連携不足を語った。

第三節 行政、財団、現場の評価からみる「とよたまちなか芸術祭」の課題
 豊田市は、「市民によるアートプロジェクト推進事業」の事業成果へと繋げるためにも、「ナデガタによって発掘された『Recasting club』のメンバーがアートマネジメント人材として自立し、次なる芸術祭を作り上げる」といったストーリーを思い描いていたのだろう。だが、第二回の開催からは《HYBRID BUNKASAI》の文字は取り払われ、芸術祭という1つのアートプロジェクトとしてアートマネジメント人材育成事業「とよた市民アートプロジェクト」の活動事例として扱われるようになった。運営に関わる市民アートマネジメント人材も山岸を除き入れ替わっており、「Recasting club」としてコアに活動していたメンバーはいなくなっている。つまりは、行政の思い描いたストーリーは継続せず、「とよたまちなか芸術祭」というある程度の規模を持った事業を市民である山岸が担ったことになる。
 筆者は、「人材育成」の対象である市民、つまりはプロフェッショナルではない者に「質の担保」と「魅力の発信」の両立を求めるのは筋違いであると考える。本来は、プロフェッショナルである財団事業団がその担うべき仕事であるが、財団にもその力が不足していた。山岸はインタビューで、自身のアートマネジメントのスキルは務めていたギャラリーで培ったものであると語っている。つまり山岸は「とよたまちなか芸術祭」に関わる以前から既に中級以上の実力は持ち合わせていたのだ。そのため、残された山岸が「とよたまちなか芸術祭」の企画・運営を担い続けることとなってしまった。行政は、山岸を育成される「市民」として扱いながらも、その実力に甘えていたというのが実情だ。
 財団側は、この事業は「山岸自身が成果」と語り今後の活躍にも期待しているが、山岸はむしろ「この場にいたくない」「僕の色になり過ぎてきちゃっている」と語っており、両者にすれ違いが起こっている。

第四節 「とよたまちなか芸術祭」からみえるアートマネジメント人材育成事業の問題点
 「とよたまちなか芸術祭」の事例から筆者が読み取った行政によるアートマネジメント人材育成事業の課題は、〈行政の都合でプロジェクト運営そのものを市民へ背負わせてしまう〉危険性である。その要因は、現場の実情からかけ離れた事業設計や、行政内部での評価が先行しがちになることだと思われる。
 社会学者の吉澤弥生(1972−)は、文化事業やアートプロジェクトに携わる公共文化施設の職員やボランティア、アートNPOらに労働の実態についてインタビューを行った(54)。そしてその多くに、長時間労働や低賃金の問題があったという。そして、「芸術における労働」について、「アートプロジェクトや文化事業がこうした自発性をあてにして計画実施されたり、あるいは予算削減や計画変更などのツケを現場の労働者のやりがいや自発性にすり替えて『芸術振興』が語られたりすることが、決してあってはならない(55)」と述べている。本書で指摘されたことが、2020年代では「やる気のある市民」に課されるようになってしまっているのではないだろうか。

第五節 〈好循環〉を目指して
 筆者は、市民がアートプロジェクトに興味を持ち、「こんなことをやってみたい」という想いを実行していくことは、市民の夢が実現し、まちが活気付くという点では好ましいと考えている。そうした市民のアクションは、文化政策や文化事業をさらに実りあるものへと動かす力があると筆者は捉える。一方で、行政にも政策や事業によって市民のアクションを支える力がある。この両者の力が合致した時、より新しい手立てへと巡る〈好循環〉が生まれるだろう。豊田市において「農村舞台アートプロジェクト」を契機に「とよたデカスプロジェクト」が始められたのは、まさにこの〈好循環〉の好例であると言える。
 〈行政の都合でプロジェクト運営そのものを市民へ背負わせてしまう〉危険性を回避することと、まちに市民によるアートプロジェクトが増えていくことは、決して両立不可能なものではない。その実現に向けて、筆者は「市民の想いに行政が寄り添い、機会や場を提供するサポートに徹すること」が重要であると考える。行政がサポートに徹し、市民の想いに応えようとする姿勢を明確にすれば、アートプロジェクトを続けるか否かは市民自らが判断できるからである。
 豊田市でも、「とよたデカスプロジェクト」では、行政や財団は市民の提案したアートプロジェクトには口を出さず、予算の助成や広報のサポートに徹している。アートプロジェクトに関する経験の浅い市民が抱く「活動予算が工面できない」「参加者が集められない」といった不安を行政がサポートすることで、アートプロジェクトを企画・運営する市民を増やしている。このような行政の取り組みを、〈好循環〉の姿として筆者は評価したい。
 〈好循環〉を起こすためには、行政の抱く「市民像」を更新していく必要があると考える。天野一夫(56)(1959−)は『Recasting Club Archives 2017−2020』の中で「ナデガタははじめから役所の考える平板な『市民アート』像ではなく、本来的な創造性を経験上見通していたのだろう(57)」と述べている。そして、このプロジェクトに参加した市民を以下のように表現している。

だんだんとわかってきた。彼(女)らは絵画教室や舞台芸術などの既存の文化団体や、文化会館的な場で活動している人たちではない。そのような場ではなく、あくまで自己本位で活動している人たちがほとんどだった。それが自在な場所を欲していて、さらに様々な人たちと刺激し合いたかったのだ。

 筆者は、市民が自ら立ち上げたアートプロジェクトこそが、市民の「本来的な創造性」の発展であり、他の市民にも「自分もやってみよう」という刺激を与えると考える。また、行政の都合で市民を動かすよりも、積極的に市民に寄り添ったほうが〈好循環〉には繋がりやすいとも考える。「本来的な創造性」は、行政ではなく市民の手にあるものだからだ。

終章

 本研究では、「とよたまちなか芸術祭」を題材に、行政によるアートマネジメント人材育成事業の課題を明らかにしてきた。第一章では日本における文化政策のあゆみを確認し、第二章ではアートマネジメント人材の定義とその育成の現状を整理した。第三章では豊田市の文化政策、第四章では「とよたまちなか芸術祭」の概要を述べ、第五章では「とよたまちなか芸術祭」が豊田市にもたらした課題の検証を行い、行政によるアートマネジメント人材育成事業が市民を行政都合で疲弊させてしまう危険性について述べた。
 筆者は、アートマネジメント人材育成事業である「とよたまちなか芸術祭」を批判的な視点から見てきた。だが、これまでに参加した市民の心情は「搾取された被害者」というだけではない。10代の頃に参加者の1人であった筆者は、「とよたまちなか芸術祭」を居場所としていたり、そこから得る達成感を活動の糧としていたりする市民にも出会ってきた。また、当時⾼校⽣だった筆者が「豊⽥市ってアートのことを色々やっていたんですね」と山岸に語ったのを聞いて、山岸は「そんなことを言う地元の子がでてきたんだと、活動を続けてきた意味があったと感じた」と今回のインタビューで語ってくれた。2024年度の「とよたまちなか芸術祭」でアートディレクターを務めた森本は「(『とよたまちなか芸術祭』の)このコミュニティが私はとても好きですし、私のような『場』を求めている⽅や、表現を敷居高く感じている方に届いたり、新たに表現を始める⽅が増えたらそれ以上に嬉しいことはないなあと思っています(58)」とも語っている。
 筆者自身、「とよたまちなか芸術祭」に育ててもらったという思いも強い。「とよたまちなか芸術祭」は、筆者にとって初めて作品を多くの人々に見てもらえた機会であり、初めて誰かとアートについて語り合えた居場所でもあった。振り返ってみれば、あのひとときは筆者と「本来的な創造性」の出会いであった。だからこそ、〈行政の都合でプロジェクト運営そのものを市民へ背負わせてしまう〉ことなど、あってはならないと強く感じるのだ。
 文化政策の場で市民に対する育成事業が活発になっていく中で、今、〈好循環〉に向けた行政の意識改革が必要である。その意識とは、〈行政の都合でプロジェクト運営そのものを市民へ背負わせてしまう〉危険性に気づき、アートプロジェクトに挑戦しようとする市民の不安を適切にサポートしていくことだと結論づける。
 最後に、本論文を執筆するにあたって快くインタビューや現場取材をさせてくださった「とよたまちなか芸術祭」の関係者の皆様に多大な感謝を申し上げ、結びとする。

(1)山岸大祐 愛知県豊田市生まれ。陶芸家。2008年に愛知教育大学大学院を修了後、愛知県瀬戸市にて制作をスタート。2012年には愛知県豊田市に工房を構える。受賞歴に2011年第9回国際陶磁器展美濃銅賞、2015年第10回パラミタ陶芸大賞展。企画展に2019年「としのこえ、とちのうた。」(旧豊田東高等学校)。また、2019年には《とよたアートデイズ2019》で「とよたデカスプロジェクト」大賞受賞。(参考:山岸大祐「山岸大祐-Daisuke Yamagishi」https://yamagishidaisuke.com、2025年11月30日アクセス、とよたデカスプロジェクト「アートデイズとよた2019「Toyota Specific」とよたデカスプロジェクト | TOYOTA DECASU PROJECT」https://decasu.jp/2019/event/238/、2025年11月30日アクセス)
(2)ネットTAM「文化政策とは|伊藤 裕夫|ネットTAM」https://www.nettam.jp/course/cultural-policy/1/、2025年11月30日アクセス
(3)文化庁「文化芸術振興基本法(平成十三年法律第百四十八号)(平成十三年十二月七日公布) | 文化庁」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/shokan_horei/kihon/geijutsu_shinko/kihonho.html、2025年11月30日アクセス
(4)文化庁「文化芸術基本法(平成十三年法律第百四十八号)改正 平成二十九年六月二十三日 | 文化庁」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/shokan_horei/kihon/geijutsu_shinko/kihonho_kaisei.html、2025年11月30日アクセス
(5)藤野一夫『基礎自治体の文化政策−まちにアートが必要なわけ』水曜社、2020年、54頁
(6)同、54頁
(7)同、56頁
(8)同、56頁
(9)野田邦弘『文化政策の展開−アーツ・マネジメントと創造都市』学芸出版社、2014年、74頁
(10)文化庁第5期文化政策部会「資料3 | 文化庁」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/seisaku/05/04/shiryo_03.html、2025年11月28日アクセス
(11)同
(12)同
(13)同
(14)同
(15)文化庁「文化芸術立国の実現を加速する文化政策(答申)―「新・文化庁」を目指す機能強化と 2020年以降への遺産(レガシー)創出に向けた緊急提言―」、2016年
(16)同
(17)文化庁「「地域文化で日本を元気にしよう!」文化審議会文化政策部会報告書」、2005年
(18)同、22頁
(19)同、38頁
(20)神戸文化ホール「【人材育成】神戸文化ホールアートマネジメント人材養成事業2025 | 神戸文化ホール」、https://www.kobe-bunka.jp/hall/news/17321/、2025年11月30日アクセス
(21)京都芸術センター「連続講座「共生社会実現のためのアーツマネジメント入門」 | イベント | 京都芸術センター | KYOTO ART CENTER」、https://www.kac.or.jp/events/連続講座「共生社会実現のためのアーツマネジメ/、2025年11月30日アクセス
(22)松山市文化創造支援協議会「アートマネジメント講座 はじめてのイベント企画 - 松山市文化創造支援協議会」、https://bunka-lab-matsuyama.com/program-council/5196/、2025年11月30日アクセス
(23)豊中市立文化芸術センター「とよなかARTSワゴン | 豊中市立文化芸術センター」、https://www.toyonaka-hall.jp/toyonaka-arts-wagon/、2025年11月30日アクセス
(24)1975年に建設された当時の文化芸術センターは、現在は豊田市市民文化会館の小ホールとなっている。
(25)「市内最大の劇場ホールや、展示室などの多目的なアートスペースを有する文化芸術の拠点施設です。様々な鑑賞公演が行われるほか、市民の文化活動の発表の場として利用されています」(引用:豊田市「市民文化会館|豊田市」https://www.city.toyota.aichi.jp/shisetsu/bunka/1029357/index.html、2025年11月30日アクセス)
(26)参考:豊田市「とよたの記録|豊田市」https://www.city.toyota.aichi.jp/shisei/profile/1041786.html、2025年11月30日アクセス
(27)公益財団法人豊田市文化振興財団文化部文化事業課「文化事業課について - 公益財団法人 豊田市文化振興財団 文化事業課」https://cul-toyota.com/about/、2025年11月30日アクセス
(28)同
(29)8つの基本施策には「Ⅰ子ども・子育て」「Ⅱ生涯学習」「Ⅲ健康・福祉」「Ⅳ安全・安心」「Ⅴ産業・観光・交流」「Ⅵ環境」「Ⅶ都市整備」「Ⅷ地域経営」がある。
(30)豊田市文化芸術振興委員会「市民によるアートプロジェクト推進事業の今後の方向性(案)について」、2023年
(31)豊田市文化芸術振興委員会「市民によるアートプロジェクト推進事業の体系図と実績」、2023年
(32)同
(33)前掲註30
(34)かとうさとる 1944年愛知県生まれ。1990年ごろから国内外で展覧会やプロジェクトを行う。著書に2008『とよたの保健医療福祉と市民文化』(澁谷朗人と仕事監修委員会刊)。(参考:大地の芸術祭「かとうさとる - 作家|大地の芸術祭」、https://www.echigo-tsumari.jp/art/artist/satoru-kato/、2025年11月30日アクセス)
(35)山村の神社などに地域住民によって作られた屋外舞台であり、奉納や村祭りなどの行事ごと、歌舞伎の上演などが行われていた建物である。豊田市には山間部の地域を中心に82箇所の農村舞台が残っている。(参考:公益財団法人豊田市文化振興財団文化部文化事業課「トップページ - 豊田市 農村舞台データベース」、https://toyota-nousonbutai.jimdofree.com、2025年11月30日アクセス)
(36)TAP Magazine「INTERVIEW | アートで蘇えるとよたの農村舞台群 10周年記念農村舞台アートプロジェクト2019 | TAP magazine」、https://tap-magazine.com/report/1777.html、2025年11月30日アクセス
(37)同
(38)愛知県豊田市足助町の古い町並み内にある空家:寿ゞ家を、アートを介して、ヒト・モノ・コトなど、様々なものが交流する場へと蘇らせたアートプロジェクト。(参考:とよたデカスプロジェクト「足助ゴエンナーレとよたデカスプロジェクト | とよたデカスプロジェクト」、https://decasu.jp/archives/event/goennare/、2025年11月30日アクセス)
(39)山岸のプロジェクトには、豊田市の2つのエリアに残る歴史的建造物で同市生まれの気鋭の作家たちの作品を展観した《アートデイズとよた2019》、豊田市所縁のアーティストによる平面・立体を合わせた作品を装丁し、アートブックを制作した《ART rental BOOK》がある。(参考:とよたデカスプロジェクト「アートデイズとよた2019「Toyota Specific」とよたデカスプロジェクト | TOYOTA DECASU PROJECT」https://decasu.jp/2019/event/238/、2025年11月30日アクセス、とよたデカスプロジェクト「ART rental BOOK Toyota Specificとよたデカスプロジェクト | TOYOTA DECASU PROJECT」https://decasu.jp/2020/event/586/、2025年11月30日アクセス)
(40)「あいちトリエンナーレは、愛知県で3年に1度開催される国内最大級の現代アートの祭典である」(参考:あいちトリエンナーレ「あいちトリエンナーレ2019」、https://aichitriennale2010-2019.jp/2019/、2025年11月30日アクセス)
(41)「あいちトリエンナーレ2019」は名古屋市内を中心に開催されたが、豊田市美術館や豊田市の中心部であるまちなかも連携会場として加えられていた。行政は、それを市内文化芸術の活性化に繋げようとしたのである。
(42)Recasting club「Recasting Club丨リキャスティング・クラブ」、https://t-c-a-p.com/recastingclub/、2025年11月30日アクセス
(43)旧豊田東高等学校跡地にて行ったアートイベント。公募で集まった市民団体や個人が、パフォーマンスや展示、ワークショップなどのプログラムを実施した。2018年、2019年の2回開催。(参考:Recasting club「廃校を彩る異種混合な文化祭「HYBRID BUNKASAI」 開催!! | Recasting Club丨リキャスティング・クラブ」、https://t-c-a-p.com/recastingclub/event/517.html、2025年11月30日アクセス)
(44)2018年3月に廃業した旅館から「とよた大衆芸術センター(《TPAC》)」としてリキャスティング。月一回の「TPACカフェ」を開くなど、Recasting clubの拠点となった。(参考:Recasting club「TPAC EXPO 2020 / とよた大衆芸術博覧会 開催 | Recasting Club丨リキャスティング・クラブ」、https://t-c-a-p.com/recastingclub/event/1165.html、2025年11月30日アクセス)
(45)とよた市民アートプロジェクト「TCAP丨とよた市民アートプロジェクト」、https://t-c-a-p.com、2025年11月30日アクセス
(46)同
(47)同
(48)筆者は6年間の「とよたまちなか芸術祭」のあゆみを5つに区分した。(参考:とよたまちなか芸術祭事務局『とよたまちなか芸術祭記録集2020-2022』公益財団法人豊田市文化振興財団・豊田市、2023年、とよた市民アートパーティー「2023年度TCAP 交流事業・文化事業報告書」、2023年、とよた市民アートパーティー「とよたまちなか芸術祭 boost 2024 報告書」、2024年)
(49)「とよた市民アートパーティー」は事業委託という形で山岸がTCAPの事業を一括で請け負った際につくったいわゆるディレクターチームのようなものである。山岸をはじめ、5名のメンバーが活動している。(参考:とよた市民活動情報サイト「団体プロフィール | とよた市民アートパーティー | とよた市民活動情報サイト」、https://www.toyota-shiminkatsudo.net/group_305/aboutus.html、2025年11月30日アクセス)
(50)小田ビニシウス 豊田市出身の日系ブラジル人。港まちづくり協議会に務めており、2025年度には豊田市で外国人労働者の多く住む保見団地という場所でアートワークショップを開催する「HOMI ART FAIR」で「とよたデカスプロジェクト」に採択されている。(参考:さかさま不動産「港まちとのきっかけになる家 - さかさま不動産」、https://sakasama-fudosan.com/lessee/minatomachi-kikkake/、2025年11月30日アクセス)、とよたデカスプロジェクト「HOMI ART FAIR とよたデカスプロジェクト | TOYOTA DECASU PROJECT」、https://decasu.jp/event/1659/、2025年11月30日アクセス)
(51)森本真由 「Recasting club」のメンバーであったほか、「とよたまちなか芸術祭」第1回ではインスタレーション作品を展示。「もりもとくれよん」の名義でデザイナーとしても活動している。(参考:morimoto crayon「もりもとくれよんdesign」、https://morimotocrayon.com/about.html、2025年11月30日アクセス)
(52)「魅力の発信」には、アートプロジェクトそのものだけでなく、交流の豊かな市民像や、地域同士のつながりといった目には見えない魅力をアートプロジェクトによって可視化する効果も含まれていたのだろうと筆者は推測している。
(53)山岸は「Recasting club」参加当時、岐阜県多治見市のギャラリーに勤めており、メンバー登録はしていたものの、実際は豊田市でのイベントにはあまり参加できていなかったとインタビューで語っている。
(54)吉澤弥生『芸術は社会を変えるか? 文化生産の社会学からの接近』青弓社、2011年
(55)同、213頁
(56)豊田市美術館のチーフキュレーターを務めた経験があり、学芸員・美術評論家として活躍している。(参考:美術評論家連盟「会員情報 天野一夫 | 美術評論家連盟 AICA JAPAN」、https://www.aicajapan.com/ja/memberprof/amano-kazuo/、2025年11月30日アクセス)
(57)Recasting club『Recasting Club Archives 2017-2020』Recasting club、2020年
(58)とよた市民アートパーティー「2023年度TCAP 交流事業・文化事業報告書」2023年

参考文献

・あいちトリエンナーレ「あいちトリエンナーレ2019」、https://aichitriennale2010-2019.jp/2019/、2025年11月30日アクセス
・一般財団法人地域創造『地域創造レター8月号No.363』一般財団法人地域創造、2025年
・一般財団法人地域創造『地域創造 2018 Winter vol.44』一般財団法人地域創造、2018年
・京都芸術センター「連続講座『共生社会実現のためのアーツマネジメント入門』 | イベント | 京都芸術センター | KYOTO ART CENTER」、https://www.kac.or.jp/events/連続講座「共生社会実現のためのアーツマネジメ/、2025年11月30日アクセス
・公益財団法人豊田市文化振興財団文化部文化事業課「文化事業課について - 公益財団法人 豊田市文化振興財団 文化事業課」https://cul-toyota.com/about/、2025年11月30日アクセス
・公益財団法人豊田市文化振興財団文化部文化事業課「トップページ - 豊田市 農村舞台データベース」、https://toyota-nousonbutai.jimdofree.com、2025年11月30日アクセス
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・小林真理『自治体文化行政レッスン55』美学出版合同会社、2022年
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・豊田市生涯活躍部文化振興課「第2次豊田市文化振興計画【改訂版】」、2018年
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・文化庁「文化芸術振興基本法(平成十三年法律第百四十八号)(平成十三年十二月七日公布) | 文化庁」
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・文化庁「文化芸術基本法(平成十三年法律第百四十八号)改正 平成二十九年六月二十三日 | 文化庁」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/shokan_horei/kihon/geijutsu_shinko/kihonho_kaisei.html、2025年11月30日アクセス
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・松山市文化創造支援協議会「アートマネジメント講座 はじめてのイベント企画 - 松山市文化創造支援協議会」、https://bunka-lab-matsuyama.com/program-council/5196/、2025年11月30日アクセス
・山岸大祐「山岸大祐-Daisuke Yamagishi」https://yamagishidaisuke.com、2025年11月30日アクセス
・吉澤弥生『芸術は社会を変えるか? 文化生産の社会学からの接近』青弓社、2011年
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・Recasting club『Recasting Club Archives 2017-2020』Recasting club、2020年
・Recasting club「Recasting Club丨リキャスティング・クラブ」、https://t-c-a-p.com/recastingclub/、2025年11月30日アクセス
・Recasting club「廃校を彩る異種混合な文化祭『HYBRID BUNKASAI』 開催!! | Recasting Club丨リキャスティング・クラブ」、https://t-c-a-p.com/recastingclub/event/517.html、2025年11月30日アクセス
・Recasting club「TPAC EXPO 2020 / とよた大衆芸術博覧会 開催 | Recasting Club丨リキャスティング・クラブ」、https://t-c-a-p.com/recastingclub/event/1165.html、2025年11月30日アクセス
・TAP Magazine「INTERVIEW | アートで蘇えるとよたの農村舞台群 10周年記念農村舞台アートプロジェクト2019 | TAP magazine」、https://tap-magazine.com/report/1777.html、2025年11月30日アクセス

行政によるアートマネジメント人材育成事業の現状と課題 ——「とよたまちなか芸術祭」から市民と行政の〈好循環〉を考える——

2026年2月7日 発行 初版

著  者:安藤麻里亜
発  行:京都芸術大学アートプロデュース学科

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