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光る音楽

香川槇奈・まーぶる・ぴのわ

二松学舎大学



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 目 次

寄りそう光

香川槇奈

あなたの背中を押す音楽

まーぶる

音楽と栞

ぴのわ

寄りそう光

香川槇奈

寄りそう光

香川槇奈

音楽は力を持っている

音楽は鎮痛

 現代日本に生きる誰もが何らかのコミュニティに属し、規範の中で生きている。自由気ままに生きていては社会が成り立たなくなるから、人は周りにあわせて生活する。頭でわかっていてもストレスはたまる。毎日まじめに現実と向き合うほど悩みは増える。たまったストレスをあなたはいつもどうやって処理しているだろうか。
 悩みを誰かに話すだろうか。眠るだろうか。あるいは気晴らしに出かけるのだろうか。私は苦しい時、音楽にいつも支えられてきた。誰にも頼れない状況でも音楽を聴くことはできたからだ。聴くだけでストレスが軽減し、嫌なことから意識を引きはがし、明日を生きていくことができる。そういう力を音楽は持っていると思う。

音楽は良い友人

 情熱的な曲調・歌詞をもつ、背中を押してくれるような曲が応援ソングと呼ばれることが多い。実際にその要素を持った曲に背中を押してもらった人も多いだろう。
 しかし、音楽はそれ以外の方法でも私たちを支えてくれる。それは共感できる歌詞であったり、感情の肩代わりであったり、音の心地よさであったり、MVのストーリーであったりする。曲は時間も場所も選ばず一緒に笑い、泣き、時には黙ってそばにいてくれる。リスナーの現実を直接変える力こそないが、前を向くための希望とエネルギーを与えてくれる。音楽はいつでもどこでもあなたの最高の友人としてそばにいてくれるといえるだろう。

「きゅうくらりん」について

楽曲紹介・こんな人におすすめ

 私にとって重要な楽曲はいよわの「きゅうくらりん」である。ニコニコ動画・YouTubeで2021年8月29日に発表されたこの楽曲は、2026年5月時点ではYouTubeで1億回再生以上、ニコニコ動画で1000万回再生以上を獲得している。ジャズピアノのように不安定な曲調、かわいい絵柄に反して後ろ向きな歌詞、随所にちりばめられた考察要素などがおもしろく、聴けば聴くほど魅力を発見できる曲である。
 私はこの曲を前向きになれない人や、消化不良な感情を抱える人におすすめしたいと思っている。少なくとも私はこの曲に共感し、毎日を支えられていたからだ。
 この楽曲と出会ったのは2022年、ちょうど私が高校2年生の時である。中学生のころに人間関係で失敗してから、人と親交を深めること自体が怖くなった。将来への漠然とした不安と現実逃避からくる寝不足もあって、朝はいつも頭痛がした。幸いなことに高校生活は楽しかったが、心のどこかでは常にこの日常に終わりがくることばかり考えていた。
 そんなとき、YouTubeのおすすめ欄に「きゅうくらりん」が表示された。最初は曲調に惹かれているだけだったが、何回も聴くうちにさまざまな魅力を発見した。

魅力① 曲調

いよわは変拍子・微分音(ミとファの間の音のようにピアノでは表現できない音)・テンポ変更といった要素が含まれるテクニカルな曲を作る人として知られているが、この曲にもテクニカルな要素が入っている。使われている音は可愛いが、その裏では音が複雑に散らばり絡まっている。音と音をあえて衝突させて生まれる濁りから不安定さを演出しているといえるだろう。
 また、この曲のテンポは速くBPM220である。YOASOBIの「夜に駆ける」のBPMが130であることを考えても、かなり速いことがわかる。不安定な曲調とテンポの速さから、まるで心がパニックを起こしているような印象を受ける。それはまるでMVに登場するキャラクター「くらりちゃん」の脳内を反映しているようにもみえる。
 もし興味があれば投稿サイト「ピアプロ」内いよわのページからきゅうくらりんのインスト版を聴いてみてほしい。ボーカルの陰に隠れた音楽のおもしろさは、たとえ音楽に詳しくなくてもわかるだろう。

魅力② MV

 いよわは曲だけではなく、企画・キャラクターデザイン・絵・動画編集に至るまですべて自らの手で制作している。この曲もまた、いよわによって制作されている。
 まず、絵がかわいい。デフォルメされた絵柄で、使われている色もピンク・ミントグリーン・ホワイトを基調にした穏やかな色使いである。それでもこの曲の暗い世界観が邪魔することなく表現されているからおもしろい。MVの中では主人公の女の子「くらりちゃん」がうまくいかない毎日を送っていることが描写される。明確にストーリーを作るというよりはあえて余白を残し解釈の余地を残すタイプの作風であるため、人を選ばず感情移入がしやすくなっている。

魅力③ 歌詞

 全編を通して後ろ向きである。この曲の歌詞は無理に背中を押したり、根拠なく励ましたりしない。後ろ向きだからこそ、悩む人の心により近づける。歌詞の中では前向きであろうとするのにうまくいかない、心の隙間が埋まらない感情が歌われている。特にこの2要素が色濃く出てくる曲後半のサビの歌詞はこのようになっている。

(歌詞はすべてYouTubeの動画から書き起こしたもの)
【きゅうくらりん2番・サビの歌詞】
ああ あなたが知ってしまう  ああ 取り繕っていたいな
ちゃんと笑えなきゃね 大切が壊れちゃうから
幸せな明日を願うけど 底なしの孤独をどうしよう
もう うめき声しか出ない  わたし ぎゅうぐらりん  (※1)

 
 自分の悩みを知られたくないし、頑張っているけれど内面では苦しさを抱えているように感じられる。笑わないといけない理由も、自分のためではなく壊したくない「大切」を守るためだ。
 私はここの歌詞に深く共感した。過去を全部なかったことにして高校でやり直そうと決めていたのに、どうしても過去に行動が引っぱられてうまくできないことがあったからだ。心の中の穴は「毎日幸せなのに心の中が空っぽで埋められないのはよくない、はやく穴をなくしてしまわなければいけない」と思うほど存在感を増していく。解決するため誰かに相談したくても、話して解決するとは限らない。話せる人が近くにいるとも限らない。そんなとき、この歌詞に共感できるかもしれない。自分は流行りの曲には惹かれないと思う人ほど聴いてみるべき曲だと思う。

余談:「ドキドキ文芸部!」との関係

 ファンの間でこの曲はPCゲーム「ドキドキ文芸部!」内に登場するキャラクター・サヨリをモデルにしているのではないかという説が有力視されている。いよわが「サヨリがモデルである」と発表したことはないものの、彼のTwitterでは「ドキドキ文芸部!」に言及した投稿が複数確認できる。ファンアートも投稿しており、愛好していることは明らかだ。サヨリをモデルにした可能性は高いだろう。
 根拠の一つとしてこの曲の歌詞の中にサヨリが好む単語としてゲーム内で設定されている単語が多く含まれることがある。「虹」「空っぽ」「報われない」などが該当する。またMVのストーリーが彼女のストーリーと似ていることも根拠である。ネタバレになってしまうため詳しくは取り上げないが、彼女は暗い背景を持っている。ゲーム内では彼女のストーリーとして必ず通るイベントがあるのだが、たしかにこの曲はそのイベントの影響をうけているように感じられる。
 「ドキドキ文芸部!」は数々の仕掛けがあるため、なるべく事前情報なくプレイすることが理想的である。もし仕掛けを知っていても、この曲との関係を考えながらプレイするとまた違った視点から作品を楽しめるだろう。よければ「ドキドキ文芸部!」ぜひともプレイしてみてほしい。

この曲の持つ力

 この曲はあの時の私に寄り添ってくれた。毎日楽しいのに人と話すだけで緊張して、前向きになれなかった私を、そのまま受け入れてくれるように感じられた。きっと同じような状況にある人は全国にいるだろう。前向きになれない人・消化不良な感情を抱える人にはなにか響くものがあると思う。
 無理に前向きにならなくても、後ろ向きな気持ちのまま毎日穏やかに過ごしてもいい。いつか立ち上がれるようになるまで待ってもいい。そういう優しさがこの曲にはある。「きゅうくらりん」をぜひ一度聴いてみてほしいと思う。

参考文献

(※1)YouTube きゅうくらりん / いよわ feat.可不(Kyu-kurarin / Iyowa feat.Kafu)
https://www.youtube.com/watch?v=2b1IexhKPz4

あなたの背中を押す音楽

まーぶる

あなたの背中を押す音楽 

まーぶる

日々の活力になるME:Iの音楽

みなさんはME:Iを知っていますか? ME:Iは日本最大級のサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」で新たに〝国民プロデューサー〟によって選ばれたガールズグループ(※1)です。現在はMIU、MOMONA、AYANE、KEIKO、RINON、SUZU、TSUZUMIの7人で活動しています。
 ME:Iの音楽は聴く人に多幸感を与え、日々の活力となる曲ばかりです。まだ聴いたことがないという人にもぜひ聴いてほしい曲がたくさんあります。そこで、本稿ではみなさんの日々に寄り添うME:Iの音楽を歌詞の引用とともに紹介していきます。(本稿の歌詞引用は、歌詞カードからおこなっています。)

夢を追う人への応援ソング

「MUSE」

 最初に紹介する曲はME:Iの3枚目シングル『MUSE』の表題曲である「MUSE」です。この曲は「永遠なる私のMUSE」をキャッチコピーに、ME:Iが誰かの夢や憧れとなる姿を描いています(※2)。「MUSE」のおすすめポイントは、どんな夢でも肯定してくれる心強さを持っているところです。特に、Bメロのフレーズが特徴的です。

画面に映る彼女は あの日の Little girl
そんな未来がきっと待ってるの Can’t wait
大きすぎる夢だって 言われたって
Don’t care what they say
One look 釘付けにしちゃって
Timeline 刻んでく My name(※3)


 この歌詞は、「どんな夢であっても、あなたが叶えたい夢を追い求めよう」と捉えることができます。誰しもが、一度は身の丈に合わないような大きな夢を抱いたことがあるのではないでしょうか。そんなときに、よく周囲の人から言われるのが「そんな夢叶うわけないじゃん。現実見なよ」という夢を追う事自体を否定する言葉だと思います。また、自分自身で「私には無理だ」と諦めてしまう人もいるかもしれません。「サッカー選手になりたい」「アイドルになりたい」といったような、多くの人が一度は抱いたことがあるような夢も、本気で目指している人は一握りであるように感じます。子供のときにはためらわずに周囲に宣言できた夢だとしても、大人になるにつれて、口に出しづらくなってしまったという人もいるでしょう。しかし、この「MUSE」という曲は、そんな大きな夢を抱くことや追いかけることを肯定してくれているのです。「人に大きすぎる夢だと言われたって構わないでしょ?」と背中を押してくれる曲なのです。ME:Iのメンバーがオーディションを勝ち抜き、大きな夢を叶えているからこそ、説得力のある歌詞だと言えます。

「THIS IS ME:I」

 二番目に紹介する曲はME:Iの1stアルバム『WHO I AM』の表題曲である「THIS IS ME:I」です。この曲は「THIS IS ME,THIS IS I 私に似ているあなたを見つけて、共に未来に進んでいく」をキャッチコピーに、ME:Iの今までの歩みとこれからの未来を示す楽曲です(※4)。「THIS IS ME:I」のおすすめポイントは、「これが私! どこにいても、何をしていても私は私」を貫いているところです。特にサビやCメロの歌詞のメッセージ性が強く、彼女たちの意思や覚悟の強さが感じられます。


This is WHO I AM(踏み出す My way)
やりたいことを Do it(〝私〟でありたいの)
夢を叶えるのは 誰でもない〝自分〟だ
(中略)
終わりのない物語 まだまだ始まったばかり
新たなページを捲ろう
選んだ道を正解にするまで
Don’t look back,yeah yeah (※5)


 前述の「MUSE」と同様に「夢を叶えること」について言及されていることが読み取れると思います。「MUSE」は「どんな夢を持ったっていいんだよ」という肯定的な応援でしたが、「THIS IS ME:I」では「夢を叶えられるかどうかは、あなた次第だよ」と活を入れてくれるような歌詞だと思います。「アイドルになりたい」という夢を、最後まで諦めずに貫き続けたME:Iのメンバーたち。きっと、彼女たちが夢を追いかけるなかで、こころない言葉をぶつけた人もいたでしょう。しかし、自分が進みたい道を信じて歩いてきたからこそ、新たにアイドルとして歩みたい道が開けたのだと思います。オーディション中も、オーディション後も周囲の助力だけでなく、自身の努力によって次への切符を勝ち取ってきたME:Iだからこそのフレーズです。
 「THIS IS ME:I」のなかで、個人的に気に入っているフレーズは中略後の「選んだ道を正解にするまで」という歌詞です。進学や就職などで、人生の岐路に立ったときに、「正しい道を教えてほしい」と思う人が多いと思います。しかし、選択するときにどちらの道が正解かは誰にも分からないものです。大抵は、後から「違う道を選べばよかったかもしれない」という後悔をするだけでしょう。だからこそ、どんな選択をして、どんな道を選んだとしても、選択したものを正解にするというのは、強い覚悟を必要とするものの、かっこいい生き様となるのではないでしょうか。

「想像以上(ME:I Ver.)」

 三番目に紹介する曲は「想像以上」です。この曲は「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」の課題曲でもあり、いわゆるME:Iのセルフカバーにあたります。大きな夢を叶える直前にパフォーマンスした楽曲であるため、未来への希望に溢れているところが特徴だと言えます。

眩しい光を浴びて
歩き出そう 未来まえだけ見て
辿り着く 夢の先へ 君といれば
想像以上の light(we’re perfectly)
行こう utopia(perfect to me)
夢を叶える storyline(imagine it)(※6)

 この曲は彼女たちが、まだME:Iではなかったころからパフォーマンスしています。ステージ上でスポットライトを浴びているような、もしくは、明るいランウェイを歩いていくようなイメージの曲だと思います。曲調だけでなく、この歌詞によって、「想像以上」を聴いている人も明るい花道へと導いてくれる印象を受けるかと思います。夢に向かって歩く際には、花道だけでなく、いばらの道もあるでしょう。しかし、夢を追う時の辛さよりも、希望に満ち溢れた明るさにフォーカスを当てている点がこの「想像以上」の特徴だといえます。
 また、ME:Iの曲には、「一緒に歩んでいこう」という歌詞が含まれることが多く、「想像以上」にも「君といれば」という歌詞があります。このフレーズがあることによって、「ひとりぼっちで進んでいるわけじゃない」「あなたがいるから、素敵な未来に向かって行ける」と感じられます。このように、ME:Iが歌うことによって、聴き手も「私は一人じゃない」「私も頑張ろう」ともう一歩前に進む力となります。もう一歩前に進んだ先には、想像していた「夢が叶った景色」よりも素敵な景色が広がっているかもしれません。

前に進みたいときの応援ソング

「Royal Energy」

 四番目に紹介する曲は1stアルバム『WHO I AM』のカップリング曲である「Royal Energy」です。この曲は現在のME:Iの楽曲のなかでも珍しいかっこよさを持った曲であり、ファン(通称YOU:ME)に人気のある曲です。「Royal Energy」は、聴くだけで力強く進んでいけそうな気持ちにさせてくれる力があります。また、それだけではなく、個々が持っている強さを肯定し、高みへと引っ張り上げてくれる歌詞も魅力的です。


そう君の中にも眠ってるEnergy
目を覚ませばshining so bright
誰だってそう 輝けるよ
I’m the one you can’t ignore,yeah(※7)

 この歌詞には、「まだ花が開いていなくても、誰もが秘められた力を持っているのだ」という意味が込められています。今までに、「あの人は才能があっていいな」と羨んだことはありませんか。もしくは、「私もあの人のようになりたい」と感じたことはありますか。きっと、自分にはない才能や能力を欲した経験は誰にでもあるでしょう。しかし、相手も同じように思っているかもしれません。自分の良さに気づかずに、ないものねだりをしているということもあるでしょう。この「Royal Energy」は、自分の良さに自信を持てない人に向けた曲でもあります。「今は埋もれているかもしれない、自分自身でも気づいていないかもしれない、でも、全ての人が輝くための力を持っている。だからこそ、自分らしく進んでいこう」と強く背中を押してくれる一曲です。

「Update ME」

 五番目に紹介する曲はデジタルリリース曲の「Update ME」です。本稿執筆時点の最新曲であり、聴く人の自己肯定感を上げてくれる楽曲です。この曲の特徴は他人と比較した自分ではなく、昨日の自分と比較した自分を大事にしているところです。「なりたい自分に向かって変わっていこう」というメッセージが込められています。(この「Update ME」のみ、YouTubeの概要欄から歌詞引用をおこなっています。)


So good You feel it
We really stay alive
なりたいように Change
We won’t stop this anaymore 
(Hear me now)
自分至上最高まで行こうよ Switch ON!
Oh Ring―ling―ling―on!(Ah ha)
昨日と違う私
だから今未来を呼ぶ Ring
響かせて Update(※8)

 まず、前半の歌詞では、「自分の思い描くように変わっていこう。私たちを止めることは誰にもできない」と書かれています。これは、最初に紹介した「MUSE」や二番目に紹介した「THIS IS ME:I」の特徴として挙げた「誰に何を言われても、私は私」というテーマの延長線上にある歌詞だといえます。これは、ME:Iというグループが持つ芯の強さや、彼女たちの理想という軸を強さの表れだと思います。
 そして、中略後の歌詞では、「自分至上最高まで行こう」とあるとおり、今まで一番良い自分になれるように進んでいこうという意味が込められています。他人と比べて、自分のほうが優れている、もしくは劣っていると一喜一憂するのではなく、これまでの自分と比べて自分を認められるかを大事にしている歌詞だといえます。つまり、自分に誇れる自分になることを、目標にしているのです。
 もちろん、自分で自分を認めることは、非常に難しいことだと思います。他の誰かに認められたとしても、自分は納得できないこともあるでしょう。だからこそ、ME:Iは「理想に向かって変わり続けよう」と歌うのだと思います。

励ましてほしい時の応援ソング

「Fan Letter」

 六番目に紹介する曲は1stアルバム『WHO I AM』のカップリング曲である「Fan Letter」です。この曲は今まで紹介してきた曲とは違い、「誰かに寄り添ってほしい」ときに聴いてほしい楽曲です。この曲を聴くと、どんなときでも一人じゃないという心強さを感じられます。




Every day,everywhere
そばにいさせて In your life
負けそうなときには
Looking ME,looking ME
Sent YOU 〝Fighting!〟
ロック画面の中 そっと
見守ってるよ ちゃんと
So you’ll never been alone(※9)


 特に注目してほしい歌詞は「ロック画面の中 そっと 見守ってるよ ちゃんと」です。推し活文化が発展した現代社会において、スマートフォンのロック画面やホーム画面に推しの画像を設定している人は多いのではないでしょうか。アイドルやアーティストだけでなく、キャラクターの画像を設定している人もいるでしょうし、もしかしたら、大切な人と撮った写真を設定している人もいるかもしれません。私自身も、実際にME:Iのメンバーの写真を設定しています。現代人にとって、日常でもっとも使用するものの一つが、スマートフォンであるといえます。もっとも身近であるスマートフォンから、推しや大切な人が見守っていてくれるとしたら、前向きな気持ちになれる気がしませんか。私は、なんとなく、力をもらえるような気がします。もちろん、本当に推しが見守っていてくれるわけではありませんが、私たちの気の持ちようで活力にすることができるでしょう。

「CHOPPY CHOPPY(ME:I Ver.)

 七番目に紹介する曲は「CHOPPY CHOPPY」です。この曲も「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」の課題曲でもあり、いわゆるME:Iのセルフカバーにあたります。「想像以上」がきらびやかなステージを夢見た曲であるのに対し、「CHOPPY CHOPPY」は冒険の旅に出るようなわくわく感を歌った曲であると言えます。この曲は苦しかった過去も今の自分の糧になっているのだと認めてくれる歌詞が特徴です。


今も残ってるあの傷も
ここに来るため作られた
追い風吹いたら そのまま
一歩ずつ 足並み揃え
準備はOK?(※10

 この歌詞だけ見ると、あの辛かった過去すらも糧にして前に進んでいこうと読めると思います。しかし、個人的には「今がどれだけ辛くても、いつか、『このときのためにあったんだ』と思える日が来るよ」という意味でもあるのではないかと感じます。
 辛い過去に折り合いをつけることも、前に進むためには必要です。二度と思い出したくないような過去だって、今の自分を形作る要素の一つであり、どれだけ望んでも切り離すことはできないでしょう。だからこそ、「今も残ってるあの傷」なのです。そして、この傷に既に折り合いがついている人ならば、触れたとしても古傷が痛むくらいで済むかもしれません。もしかしたら、全く問題ないと感じる人もいるでしょう。しかし、まだ折り合いをつけるには難しい人にとっては、触れるたびに新鮮な痛みをもたらす傷として残っているでしょう。そのような人にとっては、辛い過去を完全な過去にはできていないのです。だからこそ、「あの傷」がついたときの延長線上にいる人に向けて、「今はまだ難しくても、過去を受け入れられる日が来るよ」という励ましのように感じるのです。きっと、その兆しがみえたときが、「追い風が吹く」ときなのだと思います。

おわりに

 ここまで七曲のME:Iの楽曲を紹介してきました。本稿で紹介した楽曲はどれもME:Iの公式YouTubeで聴くことができます。本稿では、歌詞を中心に紹介してきましたが、ポップで可愛らしい曲調もおすすめポイントのひとつです。参考文献欄にURLを記載しているので、興味を持った方はOFFICAIL MVと合わせて見てみてください。また、今回紹介した曲以外にも多幸感を感じられる曲がたくさんあるので、ぜひ一度聴いてみてください!

参考文献

(※1)ME:I OFFICAIL SITE PROFILE
https://me-i.jp/feature/profile
(※2)ME:I 3RD SINGLE 『MUSE』 が2025年4月16日(水)に発売決定&本日より予約開始!
https://me-i.jp/news/detail/543
(※3)「MUSE]作詞:Yui Mugino 2025年リリース 
https://youtu.be/zPmSwXMQtRk?si=smkgltbHNB9XNYDc
(※4)1ST ALBUM『WHO I AM』が2025年9月3日(水)に発売決定&本日より予約開始!
https://me-i.jp/news/detail/793
(※5)「THIS IS ME:I」作詞:Rose Blueming,Se.A,YOUHA 2025年リリース
https://youtu.be/UwpfFRuu2lI?si=uVKz6USk3HmEfWy_
(※6)「想像以上(ME:I Ver.)」作詞:Rose Blueming,Jung Hohyun(e.one),Sophia Pae 2024年リリース
https://youtu.be/F5ftxL33Q8c?si=yqvf3ECfjor1hfkT
(※7)「Royal Energy」作詞:Rose Blueming,Se.A,Charlie McClean 2025年リリース
https://youtu.be/lCX9yMlAHdQ?si=ce0h_dYfG7k0gABI
(※8)「Update ME」作詞:Masami Kakinuma,(Relic Lyric,inc) 2026年リリース
https://youtu.be/4Q3OSgceGvQ?si=5lcbUQnObDJqzPtE
(※9)「Fan Letter」作詞:Nishino Komyaku,Masami Kakinuma,(Relic Lyric,inc)  2025年リリース
https://youtu.be/DUpjiiZTEek?si=CpKThpJNL7JrfgsS
(※10)「CHOPPY CHOPPY」作詞:Hiyori Nara 2024年リリース
https://youtu.be/DNmr4pYjRYU?si=21PRJFRDWGn6tLQM

音楽と栞

ぴのわ

音楽と栞

ぴのわ

はじめに

「本と音楽ってどこか似ている気がしませんか?」という問いに対して「似ていないだろう」と答える人ももちろんいることだろう。しかし、私は本と音楽はとても似ていると思う。本を読んでいる時に頭の中に音楽が流れていたり、逆に音楽を聴いていて歌詞が小説のように感じたりする瞬間がある。この本では、そんな本と音楽がなぜこんなにも相性がいいのかについて語っていこうと思う。

1.共通点「記憶との結びつき」

 音楽は記憶を連れてくるといわれることがあるが、それは本当だと思う。音楽を聴いていると、突然過去の懐かしい記憶が蘇ってくることがある。小学生や中学生のとき通学中によく聴いていた曲、昔ハマってよく見ていたアニメのオープニング、他にも本を読みながらよく聴いていた曲などを何年か後に再び聴くと、当時の懐かしい記憶を思い出すという経験をしたことがある人は少なくないだろう。これは本にも似たようなことが言える。昔読んでいた小説を読み返したりしたとき、その物語だけでなく、読んでいた場所や季節、初めて読んだ時どんな気持ちで読んでいたかなどを思い出すことがあると思う。このように、音楽と本はその作品単体としてだけではなく、その時の景色や感情も一緒に記憶となって残りやすいのである。特に、「嬉しい」「悲しい」「つらい」などの感情は、音楽や本と強く結びつけることが出来る。私自身も、落ち込んでいるときや泣きたいときには励ましてもらえる曲を聞いたり、面白い本を読んで気分をリフレッシュさせるなどしている。強く印象に残っている時間ほど、作品と記憶が結びつきやすいのだ。そのため、久しぶりにその曲を聴いたり本を読み返したりすると当時の自分に再会したような感覚になる。これが、本と音楽が似ていると感じる理由の一つになるのだと私は思う。

2.小説のような歌詞

 皆さんは音楽を聴いていて、「小説の一部のようだな」と思ったことが一度はあるのではないだろうか。私は普段音楽を聴いていて小説みたいだと思うことが多くある。ここで、「Chevon-シェボン」を例に出して見ようと思う。まず「Chevon-シェボン」とは、どんなバンドなのか公式サイトから引用する。(※1)


ボーカルの谷絹茉優、ギターのKtjm、ベースのオオノタツヤからなる、札幌市で結成された3ピースロックバンド。楽曲制作は、詞/メロディを谷絹、リズム/キメをオオノ、コード/リフをKtjmが担当。予見不可能な楽曲の展開力とボーカルの谷絹が生み出す複雑怪奇なメロディーラインが魅力のひとつ。

 特に、感情をストレートに伝える言葉選びや歌詞が小説を読んでいる感覚に近いと感じる。その中でも、『ハルキゲニア』という曲の歌詞に注目して考えていきたい。この曲は、特に情景が浮かびやすく小説の一場面のように感じられる。(※2)


拝啓 手紙は行ったきりで
君からの知らせはないままに
最近寒さが身に染みて来ましたが
風邪など引いていないか、とても心配です

 この歌詞は読んで分かるように、少し寂しさや悲しさを感じるとても儚い歌詞になっている。「手紙は行ったきり」という歌詞から相手からの返事がなく報われない想いだということ、「風邪など引いていないか、とても心配です」という歌詞から報われなくてもずっと相手を想っているということが感じ取れる。


きっといつかまたどこかで君と
出会っていることすら気付かず
ふたり、すれ違って
僕の見ないところで
素敵に変わってしまった君に
もう恥ずかしくてさ
…馬鹿みたいだ
僕だけが街に残っているんだひとり

 また、この曲のサビでは街を出て行ってしまい全く連絡が取れていなかった相手が素敵に変わっているのに対し、街に残っている「僕」は何も変わっていないという現実に「馬鹿みたいだ」と感じていることが読みとれる。「僕だけが街に残っている」という言葉の表現は、ただ場所の違いを示しているだけではなく二人の時間の流れ方の違いも一緒に表されているようにも感じられる。相手が新しい環境で成長している一方で、「僕」は過去の思い出や未練をずっと引きずっていて何も変わっていない、馬鹿だな、と自分にあきれているように捉えることができる。


精神的にどこかよく似ていた
図書館で借りた本にはいつも先に君の名前
ずっと深いところで
僕らは通じ合っていた筈だ
その筈だったんだ
あぁ、春と一緒に
君もこの街へ戻って来ればいいのに

僕だけが残っているんだ、ひとり

 「図書館で借りた本にはいつも先に君の名前」という歌詞から、本の好みが一緒でこの二人がどこか似ているところがあったことから「僕らは通じ合っていた筈だ」という歌詞が次に来たのかなと考察することが出来る。このような歌詞からこの曲は、最後まで報われない「僕」の恋を描いていることが伝わると思う。歌詞を見て情景を思い浮かべるのは、小説を読んでその背景を思い浮かべることと非常に似ているため相性がいいと言えるだろう。

おわりに

 ここまで「Chevon-シェボン」を例にして考えてみたが、音楽と本は「懐かしい記憶を思い出す」「音楽を聴いて情景を思い浮かべることと本を読んで背景を思い浮かべる」と似ている点があることから、この2つの相性が良いと言えるのかもしれない。
 音楽と本は一見あまり関係のないもののように見えて、実はかなり似た要素がある。懐かしい記憶を連れてきたり、言葉の背景や情景を想い浮かべたりと、お互いの魅力をより深く感じさせてくれる相性の良い存在ではないのだろうか。

参考文献

(※1)Chevon Offical site プロフィール
https://www.chevon.biz/profile.html

(※2)ハルキゲニア/Chevon 【Lyric Video】 (YouTube公式チャンネル)
https://www.youtube.com/watch?v=7QoiSZ3wnI4

光る音楽

2026年7月24日 発行 初版

著  者:香川槇奈・まーぶる・ぴのわ
発  行:二松学舎大学

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