日本の経済成長を牽引した人たち、つまり団塊の世代もいよいよ高齢者となり、「終活」期に入った。その中には激しく学校や体制と争った学生運動家も多くいる。『終夢(ついむ)ー元全学連終活記』の主人公もその一人。社会から遠く距離を置かれ、伴侶に先立たれるとたちまち独居老人となる。孤独死という現実を前に、頭をめぐるのは過ぎし日のことばかり。ドラマを再生するごとく記憶の断片を探り出し自己評価するが、結局人生に決着はつけられないことを知る。「終活」とは何か。未練なく生き抜いたかどうかという「心の終活」が最後に突きつけられるのである。
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