長嶋圭介は農地を地上げ・取りまとめして、大型商業施設等の開発を行うデベロッパーに勤務する社員である。このたび、埼玉県の真中に位置するS市に於いて、物流センターの誘致話がもちあがり、地権者との交渉を行っていた。買い側の企業からの破格の条件も手伝って、地権者のたった一人の反対を除き、取りまとめに成功する。だが、そのただ一人の反対者である七十歳の老人は、どんな提案にも決して首を縦に振らない。圭介達にとって不可解なのは、その土地が田畑として利用されているわけではなく、ただの山林だということである。その土地に何か売却出来ない理由が隠されているのではないか―そう感じた圭介は、仕事と一線を画し、独自に調査を始めるのだが・・・
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