(あらすじ)沖縄都市モノレール首里駅最終から乗客が降りた後、一人の日本兵がホームに立った。青森から来た観光客の「キシャさ乗ろ」とのお国言葉で目覚めた青森出身の沖縄戦での死者だった。「このキシャで故郷に帰れるのですね。皆も呼んで良いですか」首里駅長の比嘉は那覇空港駅を終着駅として全員を故郷へ送る。毎晩、各県の兵隊達が現れて故郷へ向う。彼らの純粋な帰郷の喜びに満ちた姿に胸打たれた職員らは、使命感を持って連夜の業務を遂行し拍手と涙で見送る。しかし、ある時……
日本国内で唯一壮絶な戦場となった沖縄。それから71年の時を経て、起きだした魂たちは、何を記憶し、何を求めて、モノレール駅ホームに現れたのか。それぞれの家族史や意識の底に眠っていた想いを揺さぶられる職員たちに、圧倒的な命の尊厳を体感させた人間の魂の本質とは?
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