なぜ日本には卑弥呼という女王が誕生したのか。なぜ日本神話の最高神・アマテラスは女性なのか。そして、なぜ縄文文化は一万年以上もの長きにわたり続いたのか。
本書は、この三つの歴史の大きな謎に対し、「乳児死亡率」というこれまであまり注目されてこなかった視点から、一つの仮説を提示します。
医療のない縄文時代では、出産は命懸けであり、乳児死亡率も極めて高かったと考えられます。そのような環境で共同体が生き残るためには、女性たちによる共同育児・共同授乳が合理的な社会制度だったのではないか――。本書は、この発想を出発点に、母系社会、女王の誕生、卑弥呼、そしてアマテラスへとつながる一つの歴史モデルを描き出します。
また、夜這い、通い婚、自然信仰など、日本文化に残るとされるさまざまな習俗についても、この仮説の視点から読み解きます。さらに、小松左京『復活の日』や花沢健吾『アイアムアヒーロー』など、人類滅亡の危機を描いた作品との比較を通して、「人類が極限状態に置かれたとき、どのような社会制度が最も持続可能なのか」という普遍的な問いにも迫ります。
本書は既存の学説を解説するものではありません。考古学・人類学・進化生物学・神話学の知見を手がかりに、一つの仮説として縄文社会を再構成する試みです。
歴史の謎を解く鍵は、土偶でも古墳でもなく、一人の赤ん坊の命にあった――。
縄文時代、日本という国、そして神道の起源を、新しい視点から考えてみたい読者にお届けする一冊です。
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