例えば、透明なカッターで切り取られたような立方体の空間。愛しあう女どうしが暮らしている。外の世界には怒鳴り合って会話をするオトコ達がウジャウジャと歩き廻り、不潔なものに触れたがる。ふたりの女は同時に泣き出す。轟々と大声で泣く。抱き合って泣く。涙が涸れるまで、泣く。まるで水の中にいる時のような、冷たいやさしさに満ち溢れた世界。彼女達だけの世界。純粋で、滑稽で、恐ろしく脆く、美しい。上演後に大きく加筆、もはや舞台化不可能な、戯曲の枠を超えた純文学シナリオ。
本を入手していないとコメントは書けません。