とある高等学校にて――一つの悲しい事件が起きた。
それは、二年のAクラスに在席していた『叶基乃』と言う少女が――誰もいない早朝の教室内にて、首から血を流して死んでいたからだ。
それを最初に目撃したただの男子生徒はすぐにそれを職員室まで言いに行き、その問題は公になった。
だが――自殺ではないと考える以上、犯人は学校の関係者であると判断した校長は、全ての関係者に学校に登校するように言った。
警察の事情聴取の関係もあり、三日経ったある日――叶基乃の親友であった九条綾香の番が回り、警察に様々なことを訊かれ、それが彼女の逆鱗に触れたことにより、彼女の事情聴取は一旦終わった。
事情聴取が終わった彼女は自分の教室に戻り、そこにいた――今は亡き親友がいたであろうAクラスのクラスメイト、計三十八名と話すこともなく、自分の席に着き、そこで静かに涙を零した。
その隣にはいつも明るく話しかけて来てくれた親友の叶基乃の席があった――しかし。そこには何やら違和感を覚えた。
不思議に思った彼女は親友の席に座り、そこで回収されたはずの彼女の机の中に手を入れてみた――すると。そこから、人の髪の毛で出来たであろう、人型の人形が出てきたのだ。
それを机の上に置き、誰かの悪戯だと思った――クラスメイト達は、それを九条綾香の度が過ぎた悪戯だと決めつけた。
反論する九条綾香だが、三十八名がそう言っている以上、何を言っても無駄だと分かり、拳を強く握った為に爪が皮膚に食い込んで血が流れる――と。
流れ出た血が髪の毛で出来た人形に付着し――爆音とも呼べるような奇声が、その人形から発せられた。
耳を抑え、うずくまった彼ら三十九名――そこから、地獄の始まりだった。
何の前触れも無く、首を一文字に切り裂かれた生徒――それに怯えて逃げ出そうとした彼らの前に立ち塞がったのは、いつも出入りしている扉だった。
扉は固く閉ざされ、開かない――ならば、窓からの脱出だと。
だが――それすらも叶わず――彼らは、教室に閉じ込められ。
たった一人のだけが生き残る、と“誰か”にそう言われた……。
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