王宮の舞踏会を控えた夜、ヘレナは目の前で衝撃の光景を目撃する。婚約者ジョンが、妹のケイラと密かに結ばれていたのだ。信じていた婚約も、家族の絆も、一瞬にして崩れ去った。だが、愛のない政略結婚など、いっそ終わったほうがいい。そう思った矢先、ジョンは公衆の面前で婚約破棄を宣言し、ヘレナは次期伯爵夫人の座を奪われる。家族にとって都合の悪い「不要な令嬢」として扱われたヘレナのもとへ公爵がやってくる。それを妹に嫉妬され、卑劣な罠に嵌められ、ついには「知らない辺境の男との結婚」か「家から追放」かという二択を迫られる。このまま運命に従うしかないのか?そんな時、女癖が悪いと噂される王宮の公爵ラファエロが手を差し伸べた。なぜ助けるのか尋ねると「共感したから」だと彼は告げる。ただ、彼の申し出だけが、人生を取り戻せる唯一の選択肢だった。裏切りと屈辱にまみれた令嬢ヘレナの、新たな戦いが始まる。
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