空き缶に向かってションベンしてんじゃねえよ、クソ野郎。くだらねえにもほどがあんだろ。全部俺の顔に跳ねてんじゃねえか。てめえ、尿でも飲んでんのか? なんでそんな臭えんだよ。
お前が一発殴っただけで、俺が死なないよう土下座して頼む羽目になるんじゃなきゃ、今ごろマジで一発ぶん殴ってるところだぞ。
今夜はやっぱ、公園で寝るか。あっちなら、まだ小便くせえ匂いも少しはマシだろ。
……待て。クソ。待て待て待て。雄二。雄二よ。沈むな。こんなところで沈むんじゃねえ。
ああああああああああああああああああ! 俺はこのままニューヨークの路上でくたばるのかよ!!!!
しっかりしろ、雄二。この一発で、クソデカいヤマを張る。
とんでもねえ大嘘をつくってのはどうだ? そうだ。八十三億人を騙し切る、とんでもねえ大嘘だ。
クソが。やってやる。
勝てば高級クラブで若い女。人生アガリだ。負けたら?
負けたらどうなるかなんて、誰が考える度胸あんだよ!!!!!!!!!
* * *
雄二は笑った。喉の奥で壊れたように笑いながら、送信キーを叩いた。
加工された声が、世界中の回線に流れ込む。
「地球上の全人類へ通告する。
こんにちは。
本通告者の威嚇能力の有効性を証明するため、
あなた方は、これより三分間、太陽を喪失する。
カウントダウンを開始する。
10、9、8……3、2、1」
* * *
【世界科学通信(WSC)緊急速報】
【東部時間 09:10
太陽の地球側に面した光球、彩層、およびコロナにおいて、全波長域にわたる電磁放射が同期して途絶した。対象には可視光、赤外線、紫外線、X線、ガンマ線が含まれるが、これらに限定されない。
中断期間中、太陽スペクトルに固有の特徴は完全に消失した。ただし、太陽そのものは原位置に存在していた。重力レンズ効果に擾乱は確認されず、SOHOの観測機器に記録された極紫外残光も、恒星本体の存続を示していたためである。
しかし、その放射は中断された三分間、地球に到達しなかった。】
【重ねて確認する。
我々は遮蔽されたのではない。
我々は、三分間、太陽を失った。
再度、確認する。
我々は、三分間、太陽を失った。】
本を入手していないとコメントは書けません。