渡辺淳一さんの『阿寒に果つ』を読んだときの私は、主人公のモデルだった「加清純子さん」には何らかの器質的な疾患があったように思えました。このことがきっかけで、私は本作で、純子を雪原に消えさせることなく平成・令和の時代の高校生として再登場させました。
本書の純子は、外からは分からない症状のために、悪質な教師や一部の生徒によっていじめられます。しかし、大震災による津波の被害を聞いた純子は、その衝動を作品にすることこそ作家の使命なのだと思い立ち、被災地に入る方法として「学生ボランティア」に参加する決意をします。純子を支え続けた『フレンズ募金』の仲間たち、純子が被災地で出会った運命の人、そんな人々と純子が織りなす物語です。
また本作には、現代の美術部の生徒さんたちへのメッセージとして、画家としての姿勢や絵画芸術について、さらに絵の具や制作に関する知識も織り込みました。
本書を手に取ってくださったみなさんに、純子のような症状の方々への理解を深めていただけたら幸いです。
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