近代看護の基礎を築いたナイチンゲールは、徹底して「考える」「考え抜く」ということを、彼女の人生を通じて、また、看護師・社会改革者としての活動を通じて行っていた。
ナイチンゲールは、看護婦とは、自分で感じ取り、自分で物事を考えることができるようにならなければならないことを力説しており、そのためには訓練が何よりも大切であることを説いていたのである。
今日の看護の領域では看護理論、地域看護、看護管理、看護研究、感染看護、さらには、災害看護に至るまでその源泉は、必ずと言っていい程ナイチンゲールの看護(論)にたどり着くと言っても過言ではない。すなわち、ナイチンゲールの看護思想は看護学の発達史上の原点であると位置づけられ、その考えは今日に至っても、看護のあらゆる分野につながっているのである。
今回のテーマ『ナイチンゲール看護論におけるクリティカルシンキング』では、クリティカルシンキングを取り挙げ焦点を当てる。この技術は思考能力と批判的・反省的思考を推し進める態度から構成されており、一般的には現象を抽象化したり、情報から推論したり、証拠となるデータを集めながら、論理的に判断していく能力など様々に定義される。
今日の世界では科学やテクノロジーの急速な発展に伴い、すべての知識を看護学生に教えることが不可能になり、看護学生が様々な情報をいかに統合して、思考力や問題解決能力を駆使して、看護を実践していく必要があるかということが問題となり明らかになってきている。ナイチンゲールが19世紀の英国において取り組んだ衛生問題の改革的な取り組みと活動は、クリティカルシンキングの観点から見てみても、ナイチンゲールこそが看護界において優れたクリティカルシンキングの先駆者であることを現わしていることが明確に分かる。
本書では、このことを明確に示し説明するとともに、ナイチンゲール看護論におけるクリティカルシンキングを学ぶことで、現在の看護師が行う日々の臨床看護における判断力を養うための一助となることを示したい。
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