「東海道五十三次」で有名な歌川広重も「富士」の三十六景に挑んでいた!
北斎の「富嶽三十六景」に勝るとも劣らない、広重最晩年の隠れた傑作「富士三十六景」全36図と目録を完全収録!
富士三十六景とは――
富士を主題にした浮世絵の揃物といえば、葛飾北斎の「富嶽三十六景」が真っ先に思い浮かびます。
あまり知られていませんが、歌川広重も北斎と同じ趣向で、富士の見える三十六カ所の風景を描いていました。
広重は富士をテーマにした「不二三十六景」「富士三十六景」というシリーズを残しています。
北斎が嘉永二(1849)年に没した後、広重は巨匠・北斎の「富嶽三十六景」に挑むかのように、「不二三十六景」を刊行しました。嘉永五(1852)年の事です。
「不二三十六景」は横中判という比較的小さなサイズの浮世絵でしたが、それが好評を得ました。
そして新たに富士をテーマにした、今度は縦大判サイズの揃物企画が持ち上がります。
それが本書で紹介する「富士三十六景」です。
「富士三十六景」は安政六(1859)年に刊行されました。
広重は安政五年九月六日、六十二歳で亡くなりました。
つまり、この作品は広重の死後、出版に至ったものだったのです。
そのため版画の色指定などには広重が関わっていないといわれています。
しかし「富士三十六景」が広重最晩年の集大成的な作品であり、なおかつ前作「不二三十六景」を凌駕する完成度の高さであることは間違いありません。
北斎が描いた富士とはまたひと味違う「広重の富士」をぜひその目でご堪能いただければと存じます。
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※「広重が描いた富士 第2巻」は、
「富士三十六景」以前に刊行されたという幻の名作『不二三十六景』です。
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【本書の内容】
○富士三十六景とは――
○「富士三十六景」全図、解説付き
0、目録
一、東都一石ばし
二、東都駿河町
三、東都数寄屋河岸
四、東都佃沖
五、東都御茶の水
六、東都両ごく
七、東都隅田堤
八、東都飛鳥山
九、雑司かや不二見茶や
十、東都目黒夕日か岡
十一、武蔵小金井
十二、武蔵多満川
十三、武蔵越かや在
十四、下総小金原
十五、鴻之台とね川
十六、武蔵野毛横はま
十七、武蔵本牧のはな
十八、相州三浦之海上
十九、相模七里か浜
二十、相模江之島入口
二十一、さがみ川
二十二、はこねの湖すい
二十三、伊豆の山中
二十四、東海堂左り不二
二十五、駿河薩タ之海上
二十六、駿河三保之松原
二十七、駿遠大井川
二十八、伊勢二見か浦
二十九、信州諏訪之湖
三十、信濃塩尻峠
三十一、甲斐御坂越
三十二、甲斐大月の原
三十三、甲斐犬目峠
三十四、上総黒戸の浦
三十五、上総鹿埜山
三十六、房州保田ノ海岸
○歌川広重略年譜
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