2020年7月20日更新
ルビを追加するとともに、表現や体裁を見直し、より読みやすくしました。
…………………………
【あらすじ】
ある夏の日、馬方とは見えない男の御す、高岡から石動へと向かう乗合馬車に、一人の怪しい美人が客となる。
そこへ普段から反目しあっている人力車が通りかかって、両者は自然相争う形となり、これがもとで御者は職を失ってしまう。
後日、夜更けに涼みに出たその女、実は滝の白糸という評判の水芸の太夫は、浅野川にかかる天神橋の上で先日の御者に出会い、男の身の上を聞いて彼の望みの実現を援助しようと申し出た。
こうして男は東京へ遊学したが、その学業の成就も近くなったとき、白糸は仕送りの金を強奪されてしまう。
悲嘆と絶望とに沈んで街をふらついているうち、見えざる手に導かれるように、今度は自らが強盗の加害者となり、殺人まで犯してしまった彼女は、数奇な巡り合わせにより参考人として裁判に出廷し、そこに思いもかけず先の御者の姿を見るのである。
本を入手していないとコメントは書けません。