月岡芳年、晩年の傑作『新形三十六怪撰』を解説付きで完全収録!
三十六の連作からなる怪奇画で、月岡芳年の仕事の集大成ともいえる作品集です。
表情豊かな人物や迫力満点な構図を駆使して、妖怪や怪異が描かれています。題材も幅広く、歌舞伎、浄瑠璃、謡曲、伝説、民話などバラエティに富んでおり、見応えがあります。
残念なことに、これが月岡芳年の遺作となりました。
芳年は芥川龍之介、谷崎潤一郎、三島由紀夫、江戸川乱歩など、文人たちにも愛されました。
おのれの生理と、
時代の末梢神経の昂奮との幸福な一致に
をののく魂が見られる
――三島由紀夫
明治における
江戸浮世絵最終の俤(おもかげ)なりといふべし
――永井荷風
ほんとうの「恐怖」が、そして「美」がある
――江戸川乱歩
精神を病みながら創作をつづけた月岡芳年……
鬼気迫る芳年の情念がこもった究極の様式美を存分にご堪能ください。
浮世絵芸術のひとつの到達点を知ることができるでしょう。
【収録内容一覧】
○新形三十六怪撰とは
○月岡芳年について
○新形三十六怪撰(全36図と解説)
貞信公夜宮中に怪を懼しむの図
さぎむすめ
武田勝千代月夜に老狸を撃の図
大森彦七道に怪異に逢ふ図
清玄の霊桜姫を慕ふの図
老婆鬼腕を持ち去る図
鬼若丸池中に鯉魚を窺ふ図
小町桜の精
為朝の武威痘鬼神を退く図
内裏に猪早太鵺を刺図
清姫日高川に蛇躰と成るの図
蒲生貞秀臣土岐元貞甲州猪鼻山魔王投倒ノ図
鍾馗夢中捉鬼之図
地獄太夫悟道の図
藤原実方の執心雀となるの図
平惟茂戸隠山に悪鬼を退治す図
皿やしきお菊の霊
藤原秀郷龍宮城蜈蚣射るの図
布引滝悪源太義平霊討難波次郎
葛の葉きつね童子にわかるるの図
仁田忠常洞中に奇異を見る図
清盛福原に数百の人頭を見るの図
那須野原殺生石之図
業平
三井寺頼豪阿闍梨悪念鼠と変ずる図
蘭丸蘇鉄之怪ヲ見ル図
ほたむとうろう
大物之浦ニ霊平知盛海上に出現之図
小早川隆景彦山ノ天狗問答之図
二十四孝狐火之図
宗祇
源頼光土蜘蛛ヲ切ル図
節婦の霊滝に掛る図
茂林寺の文福茶釜
四ツ谷怪談
おもゐつゝら
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