「友達の友達と帰りの電車の中、一緒にいた友達だけ帰った時に気まずくなってしまうことを解決するシステム」を開発せよ――。イノベーション研修、などというお題目の研修会で、即席の四人のメンバーで適当にブチあげた製品企画が特別賞を取ってしまい、泣く泣く始まる開発。
自分で考えた企画ながら、パワーポイント上「AIで」などと言って誤魔化したあたりの実装は困難を極めた。深夜に主張される偏ったアイディア、テストを進めても進めても次々発覚する欠陥……。
やる気がなかったはずの開発は、意地なのか使命感なのか、残業代は支払われないまま、朦朧とした意識の中でついに完成する。ここまで素晴らしい製品を仕上げたのだから、きっと素晴らしい反響があるに違いないさ。ハハハハ……。
そして反響はやってきた。それこそ、運命を揺るがすようなやつが……。それは、誰の運命かと言えば――。
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