十九世紀末。夕暮れ時に、由緒正しい家柄であるジュリアンの一族の屋敷に、ミリーという名の若い娘が訪れてくる。まだ十代であろうか。その娘は自分をメイドとして雇ってほしいと、そうジュリアンの父に伝える。その願いは懇願といったものとは違うものであった。赤の色を愛する赤色のメイド。ミリーの物語、『赤色のミリー』。愛する人を救うために命懸けで岩山へと一凛の花を取りにいくクロシェット。彼が愛するオーベルジーヌとの愛の物語、『赤色のミリー』の話と連なる『一凛の花』の二話を収録。
※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、出来事などとは一切関係ありません。
本を入手していないとコメントは書けません。
固い絆で繋がり合い、惹かれ合う人達。
相手を本当に大切に想い合い、そこには打算が無い、何よりも優しい世界を持っている。
私はこの2つの物語に登場する全ての人達に、そういった透明感のある愛を感じます。
豊かな色彩のアートのような言葉と文章によって紡ぎ出される情景や心情。
そこに、森の清水のように透明感のある愛がキラキラと流れて行き、この物語への愛おしさが湧いてきます。
想う心は、力を与え、奇跡を与えてくれるもの。
心を成長させ、未来を輝かせてくれるもの。
そしてその奇跡や輝きは広がり続けていく。
彼らの愛が、そう教えてくれています。
彼らから受け取った「大切なもの」は、今もこれからも私の中で生き続けて行きます。