影のような不思議な彼は、私と他人の境界をやさしく溶かしてくれました。
社会人2年目の一色すみれは、大学2年生の二浜佑に出会い、諦めていた自らの価値観を取り戻していく。雨の日の水溜りが乾いて輪郭がはっきりするように、水分子が群れて雲ができるように、境界を作ったり溶かしたりする、エッセイ調短編小説。
NovelJam 2024参加作品
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初めて、男と女が同棲する時って、色々なことが起こるんですよね。私は男と女より、男と男で暮らしたほうが上手くいったけど、それはNovelJamの趣旨に反するので黙っておきます。
で、本題に戻りますが、この小説、本当に瑞々しいですね。リアルで考えると、初めての同棲から暴走するケースもあるし、トラウマになってもう誰も愛さないと言って血の涙を流す時もあるし、まあ時が経って、この人でいいかと思えた時に上手くいくんだけど、そういう意味ではこの小説の主人公、一色すみれさんの人生が上手くいくことを、お父さんのような視線で見守りたいなと思いました。若い女性の心情を詩的な表現で描いた佳作ですね。