細雨にそよ風、青い幟が揺れる小さな店。
異国の胡姬は花のように微笑み、
新豊の美酒に、若い葵と筍、金齑玉鱠――
香り立つ料理が、今日も長安の一角を満たしている。
京兆少尹・林晏の視線は、
その店の女主人――雪のように白い肌と杏の瞳をもつ彼女に向けられた。
名門の令嬢が、今や当垆に立ち酒を売る身。
なんと哀れで、なんと嘆かわしいことか……。
――しかし。
沈韶光は今日もご機嫌だ。
美酒と美食に囲まれ、
通りを行き交う凛々しい若者たちを眺めながら、
「こんなに楽しい暮らし、他にある?」と心の中で笑う。
一方の林晏は眉ひとつ動かさず、冷ややかに思う。
派手に着飾り、馬を駆り、
闘鶏に興じる五陵の若造ども――
……そろそろ、きっちり取り締まるべきではないか。
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