大理寺の官営食堂に、新人の厨娘がやってきた。
まずいことで名高い食堂?
行くわけがない。
役人たちは鼻で笑った。
「食堂?絶対ごめんだ」
——しかし、数日後。
「今日のメニュー、竹の子と豚肉の煮込みらしいぞ」
「……あの匂い、反則じゃないか?」
昼前から漂う香りに、
通りすがりの官吏が足を止め、
隣の役所の連中まで、塀越しに恨めしそうな顔をする始末。
かつて食堂を嗤っていた高官たちも、
次第に沈黙し、
やがて視線を逸らしながら、こう言い出す。
「お、おい……」
「……ついでに、俺の分も買ってきてくれ」
まずい食堂は、こうして——
長安一、逃げ場のない人気スポットになった。
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