名門の家が没落し、
一人の少女は国境へ逃れ、晋王の屋敷で下女として生きることになる。
身分は卑しく、命は軽い。
――ただ、その美しさだけが、災いだった。
女に興味を示さぬ晋王を前に、太妃は焦っていた。
ある日、少女は大罪を犯し、処刑寸前まで追い込まれる。
命を救った太妃は、冷酷な条件を突きつけた。
「王爺を誘惑しなさい。
身を捧げれば、罪は許す」
生きるため、
少女は主君に近づくことを選ぶ。
二か月後、役目は果たされた。
命は繋がれた。
だが条件は、終わらなかった。
「世子を産めば、自由にしてやる」
一年後、男児が生まれる。
それでも解放はされない。
「もう一人。
娘を産めば、十万両で都を去らせてあげる」
三年――
妾としての役目を終え、少女はすべてを捨てて姿を消す。
やがて家は雪冤され、
彼女は再び名門の令嬢として都へ戻る。
幼なじみである皇帝は、
「過去は問わない」と、彼女を皇后に迎えた。
――すべてが終わったはずだった。
しかし三年後、
病弱な天子は急死し、天下は乱れる。
晋王が兵を挙げ、宮城を包囲する。
金鑾殿で再会する、
かつての主と、かつての妾。
今や彼女は、幼帝を支える皇太后。
「――皇嫂」
その一言に、すべてがよみがえる。
これは、
一人の女が“そう呼ばれる日”まで、
何度も身を差し出し、生き残ってきた物語。
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