喫茶店で働く島崎統吾はフィリピン人の母子と出会う。母子と交流を深めていくうちに、母子の苦しみを知ることになる。ある事件をきっかけに、初めて人のために動いた統吾の運命が大きく変わっていく。
NovelJam 2025参加作品
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NovelJam2025のお題は移住ですが、そこでストレートに、外国からの移民を主題にした物語を描くことをこの小説は扱っています。他作品ではメリカの居場所探しが移民に近い異民族が新天地に於ける共生と差別に悩むことを主題にしていますが、この作品でも同様に、時には力強く暴力的な描写で、ある意味日本人的な視点で異国人の葛藤を描いています。正直に言えば、苦しまなければいけないのか、例え小説の中でも、現実世界では苦労が絶えなくとも、架空の小説世界では、それを和らげるヒントのようなものが描けないのか、と思ってしまいました。でもこれが現実なんだよなと訴えることもまた、物語の効能のひとつなのでしょうね。
ビターエンドだけれども人の善性を信じられる素晴らしい幕切れだ。
母親という者の強さを感じて非常に良い読書体験だった。
統吾君も一大決心で行動して、それが完全に報われなかったけどそれも含めて人の善性を信じたくなる本だった。
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10inch版 2,508円
電子版 1,320円