文明が崩壊しつつある世界。人里離れた植物研究所でサバイバル生活を送るカインとヤシロは、ふとしたきっかけから危険な外界へ飛び出すことを決める。正反対な性格のコンビは、計画を通じてお互いへの信頼感を取り戻していく。
著者より一言:今回初参戦の、NovelJam2025。著者と編集者とイラストレーターが3人ひと組になり、3日間で短編を完成させ出版を目指すというものです。お題は『移住』。即興ゆえの疾走感や緊張感が伝われば幸いです。
NovelJam 2025参加作品
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キャプション通りのサバイバル物。大昔に文字通りにサバイバルというタイトルの漫画があったが、今ではサバイバル物と聞くと、ああ、こういうイメージだなというステレオタイプのストーリー展開が思い浮かぶかもしれない。この作品もそういう意味でのサバイバル物の範疇から超えられないなと思いながら読み進めていった。救いは二人の男性キャラの活き活きとした会話かな。そして読み終わる頃には象徴的なオチを用意して物語は余韻を残して終わるのだが、個人的に、読み終わったあとで、この七日目の希望の表紙を改めて見つめ直して、驚いてしまった。蝶の交尾。蝶は再生を象徴して、それがつがいで表されるのは新たなる生命を宿すことを更に象徴的に表すこととなる。タイトルの七日目の希望にも象徴される七日間で世界を作り上げた聖書の一節とも重なり、深読みすると希望に満ちた物語を、文章からも表紙からも全てを含めて表現しているとも捉えられる。先程、著者さんのほうから表紙には交尾の意図は無いという発言を頂いたが、作り手の意図を超えて読者に深読みを与える想像力の余地が作品に籠められているのも、それだけでもNovelJamパワーが発揮したのだなと捉えられる。そんなマジックを秘めた物語だと思った。
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10inch版 2,508円
電子版 1,320円