自分の右手が腐っているとしか思えない。幼いころから奇妙な感覚に苛まれてきた主人公は、人生の不調の理由をその「腐敗」に求めている。ある日、そんなに嫌なら手を切り落とせばいいと囁く人物に出会い、思いもよらぬ事態へ引きずり込まれていく。
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この物語もプロット発表の時に概要を初めて聞いた時に、正直に、これは川端康成の『片腕』だな、と思った。そしてその『片腕』をオマージュにしたパロディ/パスティーシュ作品も数多く存在していて、正直に言えば純文学に詳しい者から見れば、この小説が川端康成の『片腕』を超えていなければ、何を言われるかわかったものではないという覚悟の元に書かれているのだろうと思いながら読み進めた。果たしてそれが超えていたのかどうかは、読んだ読者の方々それぞれの感性に委ねたい。ただ少なくとも私は『片腕』とは違う要素をここに感じたし、それをもっと膨らませることもできたのになと思った。着眼点は悪くない。
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