北海道十勝にある幸福町。洋裁店を営んでいた祖母フクに育てられた幸は、同じく服飾の道へ進むことを夢見ていた。十勝に移住した青年・幸士郎との出会いが、ふたりに新しい一歩をもたらす。
祖母への想い、トラウマを抱えるミシンへの挑戦、そして変わらず佇む幸福駅——。
小さな町で静かに紡がれる、はじまりの物語。
NovelJam 2025 参加作品
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本当に一万文字かと思うくらいに詰め込まれた圧倒的な文章力にまず目を奪われる。物語に描かれた創作者としての悩みも、特にプロ作家として毎日商業作品を作るのではなく兼業作家として日々の合間に息抜きでやっているのに、知名度が上がる度にカスタマーハラスメントの体験を得てへこむことがある。そんなあるある感に満ちた小説だと思った。それが、ほんの些細なことで救われる。現代の最先端の技術と古き良き技術の両者の中にあるものに小確幸を見つける。そんな物語だと思った。
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10inch版 2,508円
電子版 1,320円