ひとりぼっちの少年と、ひとりぼっちの怪獣
青い海と緑の山に挟まれた、小さな港町。中学生の赤井一真は、いつも一人だった。漁に出る父と働きづめの母は家を空けがちで、一クラスしかない教室にも居場所はない。一人のほうが気楽だ。いつからか、そう思うようになっていた。
そんな一真の唯一の居場所は、山の中に自分で作ったテントの隠れ家。ある日、その近くの草むらで、煙を上げる不思議な石を拾う。翌朝、石は割れ、中から小さなトカゲのような生き物が生まれた。
一真はその生き物を「ヴィドラ」と名付け、誰にも内緒で育て始める。木の枝や小石を食べ、日なたぼっこが好きで、くしゃみをすると小さな炎を吐く。日に日に大きくなるヴィドラと過ごすうちに、一真の胸には、今まで知らなかった気持ちが芽生えていく。
けれど、ヴィドラの成長は止まらない。背中には翼が生え、やがて一真の背丈も追い越していく。山で「翼の生えたトカゲ」を見たという噂が、教室にまで届き始めた。
そして、季節外れの流星群が、町の夜空を埋め尽くした夜。
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