書を捨てよ、町へ出よう
「レンズ越しの恋」とはよく言ったものね。きっと電通だか博報堂だかのコピーライターが生み出した言葉よ。レンズ越しで満足できるのならば、果たしてそれは本当に恋なのかしら。身を焦がすような情熱も、新作のチークも、あなたの好みに合わせた香水も、レンズ越しではあなたに伝わらない。もちろん、その逆もしかり、ね。あなたは私のことをどう思っているのかしら。レンズ越しでもその全てが伝わればいいのに。全てを伝えるレンズを開発したいけれど、そうするとあなたに会える時間が減ってしまうから他の誰かに任せることにするわ。わがままかしら。でもいいの。だって私はあなただけのプリンセスなんですもの。今から会いに行くことにするわ。あなたの好きなタルトタタンを作って行くからおなかを空かせて待っていてほしい。「レンズ越しの恋」とはよく言ったものね。恋がレンズ越しで完結するものならば、私のこれは恋ではないのかもしれない。恋よりもっと衝動的で、感傷的で、盲目的な。名付けるなら、そう。
世はまさに配信サービス全盛期。一日中スマホにかじりついていても恋はできるのかもしれない。それでも、それ以上の「なにか」は街へ出てこそ得られるものではないのだろうか。
『映画館に行こう!』では、ノ木リ木が映画館の。『高尾山の日帰り旅行』では、レイが旅行の。『なぜ人は熱狂するのか? バスケ観戦という魔法』では、しゅながバスケ観戦の。『#あふれるしあわせ』では、マリリンが野球観戦の。『推し活のすゝめ』では、みさきちが競馬の。『邦ロックが僕らに語りかけるもの』では、Uがライブの魅力をそれぞれ語る。
書を、スマホを、恋を捨て、現場へ行こう。きっとそこには。
「映画館に行こう!」ノ木リ木
「高尾山の日帰り旅行」レイ
「なぜ人は熱狂するのか? バスケ観戦という魔法」しゅな
「#あふれるしあわせ」マリリン
「推し活のすゝめ」みさきち
「邦ロックが僕らに語りかけるもの」U
本を入手していないとコメントは書けません。