石竹書房
パブリックドメイン化した古典小説の独自翻訳を公開しています。
石竹書房
冊数 0 冊
紙本 0 冊
更新 2018.11.10
book List
イソノ武威
book store
その他の書店
-
-
── 大人になって、いじめっ子と再び出会った。 僕の趣味は、趣味と言うには深刻すぎると自分でも思うが、復讐計画を作ることである。 相手は、山岸涼。十年前、中学生のころ、僕の人格をズタズタにした男だ。 いまだに当時の屈辱を思い出し、夜中に飛び起きることがある。そんなときはパソコンに向かい、山岸の殺害計画を作る。 絞殺。 撲殺。 扼殺。 焼殺。 計画のテキストファイルは、百五十を越えた。 実行したことは、ない。 僕にできることは悶々と怨念をキーボードに叩きつけることばかりだった。計画は何の意味もない。それは判っていた。 虚しい計画を徹夜で作った朝、往復はがきが届いていた。同窓会の案内だった。 幹事は、山岸涼。 はがきを破り捨てようと思った。 しかし、十年も山岸の記憶に縛られ続けていながら、僕にはチンケなプライドがあった。 山岸ごときに人生を左右されたくない。 僕は、同窓会に出ることに決めた。 忌まわしい記憶に、僕は勝てるのか。 (※『月刊群雛』2016年08月号掲載作品のサンプルおよび作品情報&著者情報を収録しています)
- データ本
- 無料
- 読む
- 紙の本
- /
- 購入
-
-
-
自分の父親が亡くなったというのに、悲しみすら見せない姿。 自分の父親が亡くなったというのに、葬儀の手配から親戚などへの連絡なども、誰にも頼らずにこなしてしまう冷静な姿。 自分の父親が亡くなったというのに、警察の事情聴取も冷静に対応する姿。 息子たちはどのように私を見ているのだろうか? その姿は、人間らしいのだろうか? その姿は、鬼のようには見ていないだろうか? それにしても、ちっとも悲しい気持ちにならない。 かといってスッキリとした気持にもなれない。 もちろん、楽しい気持ちなど芽生えすらしない。 虚無感。脱力感。 抜け殻のような、なのにこれからしなければならないことで、頭の中がいっぱいになっている。 ようやく、これで解放されるのだ。 本物の鬼にならずに済んだようだ。 いや、もともと心に鬼を抱いているのかもしれない。 心の鬼が表面に出てこないだけなのではなかろうか。 突然の父親の死 かかりつけ医のいない老人の死 警察による事情聴取・現場検証 死亡診断書ではなく死体検案書
- データ本
- 297円
- 購入
- 紙の本
- /
- 購入
-
-
-