夢ブックス

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更新 2022.02.10

ジャンル 文芸4

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  • 『A・I』

    宮本誠一著

    夢ブックス発行

    文芸

    2020.05.01

    d本:80㌻ 新書版

    -

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    A・I

    宮本誠一著

    夢ブックス発行

    福祉通所施設職員の伊矢木はいつも通りメンバーのアユムを迎えに行くと、母親と二人暮らしのはずなのに、聞き覚えのない奇妙な声を耳にします。それはアユムの自傷行為に合わせ発せられ、まさかと思う伊矢木でしたが、アユム本人のものであると知ります。それでも重い知的障がいのあるアユムが突然、言葉を発することは考え難く、疑心暗鬼のまま施設へ戻ると、他の二人の重度の知的障がい者の声が聞こえてき、しかも他の職員にはまったく聞こえないことがわかります。声は様々な不満や叱責を伊矢木にぶつけてきますが、これまでは知らなかった彼らの世界や本音も見えてきます。 そんな中、施設にAIの会話ロボットが寄贈され、なんとその声が伊矢木にはまったく聞こえず、アユムたち声の通じる者らから「仲間」と認知され、少々戸惑います。そこへ大きな地震がやってき、逃げ遅れてしまった伊矢木はアユムの声に従いながら避難するのですが…。

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    『A・I』

    宮本誠一著

    夢ブックス発行

    文芸

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    福祉通所施設職員の伊矢木はいつも通りメンバーのアユムを迎えに行くと、母親と二人暮らしのはずなのに、聞き覚えのない奇妙な声を耳にします。それはアユムの自傷行為に合わせ発せられ、まさかと思う伊矢木でしたが、アユム本人のものであると知ります。それでも重い知的障がいのあるアユムが突然、言葉を発することは考え難く、疑心暗鬼のまま施設へ戻ると、他の二人の重度の知的障がい者の声が聞こえてき、しかも他の職員にはまったく聞こえないことがわかります。声は様々な不満や叱責を伊矢木にぶつけてきますが、これまでは知らなかった彼らの世界や本音も見えてきます。
    そんな中、施設にAIの会話ロボットが寄贈され、なんとその声が伊矢木にはまったく聞こえず、アユムたち声の通じる者らから「仲間」と認知され、少々戸惑います。そこへ大きな地震がやってき、逃げ遅れてしまった伊矢木はアユムの声に従いながら避難するのですが…。

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  • 『慰留地』

    宮本誠一著

    夢ブックス発行

    文芸

    2020.05.02

    d本:80㌻ 新書版

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    慰留地

    宮本誠一著

    夢ブックス発行

    彼は、ネット上で見つけた賞品がマウンテンバイクのクイズに答え見事勝ち残り、最終ステージのため、提出者である奥木という男の住む島へやってきました。奥木は緘黙の息子と二人で暮らしており、自分の日記を読み感想を伝えてくれることが最後の問題だと言い、日記帳と約束の印として自転車の鍵を手渡します。島の海岸には未戒塚と呼ばれる巨大な石棺と、至る所に奇妙な固形物(住民たちはそれをガラクタ、やがて羽化し浮遊すればシロチョウと呼んでいる)が寄せ集まり、日記には失踪した奥木の妻や、未戒塚にまつわる島の住民たちの謎を解く鍵が書かれていました。 ところが、彼が感想を言いに行く前に、奥木親子は不審な火事とともに消えてしまいます。彼は残された自転車に乗って未戒塚や固形物の中を走りながら、自分なりに調べ始めます。不思議なことに自転車は、まるで彼の体型を計ったようにぴったりし、島の不便な道を走るのに便利なつくりをしており、日記でそれが、かつて奥木の妻本人が、働いていた工場で組み立てられたものであることがわかります。 島で出会ったもう一人の男と一緒に石棺を調べているうちに、壁の向こうから奥木が幻影のように現れ、既に君の記憶は僕そのものになり、君自身もいづれこの中へ入るか、もしくはもう壁のこちら側へやってきているかもしれないと告げられます。そのとき緘黙とばかり思っていた息子の声がし、父親の言っているのはすべてまやかしだから、シロチョウともどもこの島全体を燃やして欲しいと彼に訴えるのです。彼は自転車に颯爽と跨り、シロチョウを燃やすべく、奮闘し始めるのですが…。 (三 田 文 学 N o. 140 新 同 人 雑 誌 評から) 非 正 規 の 職 を 解 雇 さ れ た ば か り の 「彼 」 は 三 十 歳 を 迎 え た 九 月 の あ る 日 に 、 マ ウ ン テ ン バ イ ク が 商 品 の イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の ク イ ズ に 解 答 し 、 次 の ス テ ー ジ に 進 ん だ と い う 連 絡 を 受 け る が ま ま 小 型 汽 船 で 島 を 訪 れ ま す 。 そ こ に は 、 未 戒 塚 と 呼 ば れ な が ら 島 の 人 間 を 葬 っ て い る 円 筒 形 の 巨 大 な 石 棺 や 、 地 下 か ら 湧 き 出 し て く る 色 や 形 の 様 々 な 「ガ ラ ク タ 」、 そ ん な 「ガ ラ ク タ 」 が 羽 化 す る こ と で 自 粉 を 撒 き 散 ら し な が ら 空 中 を 飛 び 交 う 「シ ロ チ ョ ウ 」 な ど が 存 在 し て い ま す 。 ク イ ズ の 出 題 者 で あ る 奥 木 や そ の 息 子 と 知 り 合 う な か で 「彼 」 は 石 棺 へ 接 近 し 、 や が て 奇 妙 な 島 の 核 心 部 へ と 迫 り ま す 。 共 同 の 墓 で あ る 石 棺 の 壁 に 消 え て い く 人 間 と 、 そ こ か ら 聞 こ え て く る 声 、 夜 空 を 舞 う シ ロ チ ョ ウ な ど 、 色 濃 い 死 の イ メ ー ジ の な か で 唐 突 に 明 ら か に さ れ て い く 島 と 「彼 」 自 身 、 そ し て イ ン タ ー ネ ッ ト の S N S ア プ リ の 関 連 性 は 驚 き が あ り 新 鮮 な 展 開 で し た 。 マ ウ ン テ ン バ イ ク と い う 仮 の 商 品 を 目 的 に 島 の 住 人 と 交 流 し 、 R P G 的 に ナ ビ ゲ ー シ ョ ン さ れ て い く な か 、 や が て は そ の 世 界 を 形 作 っ た プ ロ グ ラ ム と 、 自 分 自 身 が 留 ま る べ き 居 場 所 の 選 択 へ と 「彼 」 の 直 面 す る 問 題 は 拡 が っ て い き ま す 。 額「 縁 」 と い う 二 つ の 世 界 を 分 け る 境 界 面 の 内 側 か ら 外 側 へ と 引 き 継 が れ て い く 微 か で も 確 か な 責 務 感 の よ う な も の に 、 匿 名 的 で 膨 大 な 情 報 を 扱 う ネ ッ ト 社 会 と 格 差 問 題 を 含 め た 働 く こ と の 無 力 感 と を 見 据 え る 重 み が あ り ま す。

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    『慰留地』

    宮本誠一著

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    文芸

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    彼は、ネット上で見つけた賞品がマウンテンバイクのクイズに答え見事勝ち残り、最終ステージのため、提出者である奥木という男の住む島へやってきました。奥木は緘黙の息子と二人で暮らしており、自分の日記を読み感想を伝えてくれることが最後の問題だと言い、日記帳と約束の印として自転車の鍵を手渡します。島の海岸には未戒塚と呼ばれる巨大な石棺と、至る所に奇妙な固形物(住民たちはそれをガラクタ、やがて羽化し浮遊すればシロチョウと呼んでいる)が寄せ集まり、日記には失踪した奥木の妻や、未戒塚にまつわる島の住民たちの謎を解く鍵が書かれていました。
    ところが、彼が感想を言いに行く前に、奥木親子は不審な火事とともに消えてしまいます。彼は残された自転車に乗って未戒塚や固形物の中を走りながら、自分なりに調べ始めます。不思議なことに自転車は、まるで彼の体型を計ったようにぴったりし、島の不便な道を走るのに便利なつくりをしており、日記でそれが、かつて奥木の妻本人が、働いていた工場で組み立てられたものであることがわかります。
    島で出会ったもう一人の男と一緒に石棺を調べているうちに、壁の向こうから奥木が幻影のように現れ、既に君の記憶は僕そのものになり、君自身もいづれこの中へ入るか、もしくはもう壁のこちら側へやってきているかもしれないと告げられます。そのとき緘黙とばかり思っていた息子の声がし、父親の言っているのはすべてまやかしだから、シロチョウともどもこの島全体を燃やして欲しいと彼に訴えるのです。彼は自転車に颯爽と跨り、シロチョウを燃やすべく、奮闘し始めるのですが…。


    (三 田 文 学 N o. 140 新 同 人 雑 誌 評から)
    非 正 規 の 職 を 解 雇 さ れ た ば か り の 「彼 」 は 三 十 歳 を 迎 え た 九 月 の あ る 日 に 、 マ ウ ン テ ン バ イ ク が 商 品 の イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の ク イ ズ に 解 答 し 、 次 の ス テ ー ジ に 進 ん だ と い う 連 絡 を 受 け る が ま ま 小 型 汽 船 で 島 を 訪 れ ま す 。 そ こ に は 、 未 戒 塚 と 呼 ば れ な が ら 島 の 人 間 を 葬 っ て い る 円 筒 形 の 巨 大 な 石 棺 や 、 地 下 か ら 湧 き 出 し て く る 色 や 形 の 様 々 な 「ガ ラ ク タ 」、 そ ん な 「ガ ラ ク タ 」 が 羽 化 す る こ と で 自 粉 を 撒 き 散 ら し な が ら 空 中 を 飛 び 交 う 「シ ロ チ ョ ウ 」 な ど が 存 在 し て い ま す 。 ク イ ズ の 出 題 者 で あ る 奥 木 や そ の 息 子 と 知 り 合 う な か で 「彼 」 は 石 棺 へ 接 近 し 、 や が て 奇 妙 な 島 の 核 心 部 へ と 迫 り ま す 。 共 同 の 墓 で あ る 石 棺 の 壁 に 消 え て い く 人 間 と 、 そ こ か ら 聞 こ え て く る 声 、 夜 空 を 舞 う シ ロ チ ョ ウ な ど 、 色 濃 い 死 の イ メ ー ジ の な か で 唐 突 に 明 ら か に さ れ て い く 島 と 「彼 」 自 身 、 そ し て イ ン タ ー ネ ッ ト の S N S ア プ リ の 関 連 性 は 驚 き が あ り 新 鮮 な 展 開 で し た 。 マ ウ ン テ ン バ イ ク と い う 仮 の 商 品 を 目 的 に 島 の 住 人 と 交 流 し 、 R P G 的 に ナ ビ ゲ ー シ ョ ン さ れ て い く な か 、 や が て は そ の 世 界 を 形 作 っ た プ ロ グ ラ ム と 、 自 分 自 身 が 留 ま る べ き 居 場 所 の 選 択 へ と 「彼 」 の 直 面 す る 問 題 は 拡 が っ て い き ま す 。 額「 縁 」 と い う 二 つ の 世 界 を 分 け る 境 界 面 の 内 側 か ら 外 側 へ と 引 き 継 が れ て い く 微 か で も 確 か な 責 務 感 の よ う な も の に 、 匿 名 的 で 膨 大 な 情 報 を 扱 う ネ ッ ト 社 会 と 格 差 問 題 を 含 め た 働 く こ と の 無 力 感 と を 見 据 え る 重 み が あ り ま す。

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  • 『有明幻想』

    宮本誠一著

    夢ブックス発行

    文芸

    2020.04.29

    d本:78㌻ 新書版

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    有明幻想

    宮本誠一著

    夢ブックス発行

    有明海沿岸の熊本県北部に位置する、かつて石炭で栄えた荒尾で貝堀の仲買を生業とする家に生まれた二人の兄弟。兄の敏雄は、友人の退学処分に憤り、校長室へ怒鳴り込んだ勢いで自らも高校を中退し、弟の浩一は将来の貝漁や海のことを勉強しようと大学の水産科に進学していました。 だが、昭和から平成に移るとともに諫早湾の干潟埋め立てと炭鉱閉山があり、貝の収穫量は目に見えて激減しています。 そんな中、敏雄はスナックで知り合った律子を家へ連れ込みます。彼女は子を孕んでいます。浩一はたまたま、市民プールの清掃のアルバイト中、白骨を見つけ、ひと騒動となります。貝漁とプール掃除という激務の中、黙々と働く女たちとともに汗を流す二人の兄弟。浩一は骨の正体が誰なのか気になり、また敏雄は貝漁の先行きを心配しながら、台風は着実にやってき、律子の出産も近づいてきます。 どこか落ち着かずいらだつ敏雄の頭にあるのは、父母が事あるごとに話して聞かせた、かつて敏雄が同じく母親から生まれる直前、台風の過ぎ去った後の有明海の情景でした。なんとそこには、突風がおさまった後、人の背を超すほどに貝が山のように盛り上がり、雲仙岳と重なるように聳えていたと言うのです。敏雄は作り話のようなその幻影を追い払うかのように、何かに取りつかれたよう猛スピードで海へと車を走らせるのですが……

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    『有明幻想』

    宮本誠一著

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    有明海沿岸の熊本県北部に位置する、かつて石炭で栄えた荒尾で貝堀の仲買を生業とする家に生まれた二人の兄弟。兄の敏雄は、友人の退学処分に憤り、校長室へ怒鳴り込んだ勢いで自らも高校を中退し、弟の浩一は将来の貝漁や海のことを勉強しようと大学の水産科に進学していました。
    だが、昭和から平成に移るとともに諫早湾の干潟埋め立てと炭鉱閉山があり、貝の収穫量は目に見えて激減しています。
    そんな中、敏雄はスナックで知り合った律子を家へ連れ込みます。彼女は子を孕んでいます。浩一はたまたま、市民プールの清掃のアルバイト中、白骨を見つけ、ひと騒動となります。貝漁とプール掃除という激務の中、黙々と働く女たちとともに汗を流す二人の兄弟。浩一は骨の正体が誰なのか気になり、また敏雄は貝漁の先行きを心配しながら、台風は着実にやってき、律子の出産も近づいてきます。
    どこか落ち着かずいらだつ敏雄の頭にあるのは、父母が事あるごとに話して聞かせた、かつて敏雄が同じく母親から生まれる直前、台風の過ぎ去った後の有明海の情景でした。なんとそこには、突風がおさまった後、人の背を超すほどに貝が山のように盛り上がり、雲仙岳と重なるように聳えていたと言うのです。敏雄は作り話のようなその幻影を追い払うかのように、何かに取りつかれたよう猛スピードで海へと車を走らせるのですが……

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  • 『むらさだめ』

    宮本誠一著

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    文芸

    2020.04.29

    d本:82㌻ 新書版

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    むらさだめ

    宮本誠一著

    夢ブックス発行

    事業に失敗し自己破産した斉藤は、右足に麻痺があります。破産手続きの際、住居も手放した彼に書記官が郊外の空き家を勧めます。そこは高齢者や障がい者を対象とした通信機器利用の研究地区に指定され国からの補助が下り、最近、一人暮らしの家主が亡くなったことで書類上の穴埋めの意味も兼ねていました。 無料で借りられる条件に快諾した斉藤でしたが、実際行ってみると谷間の橋一本で結ばれ明治から昭和、平成にかけ幾度かの合併を経ながら存続してきた限界集落であり、江戸期までは山伏の修業の地だったことを知ります。 村に移り住んだ斉藤がまず知り合ったのは、自分より早く入居していた同じく自己破産者で聴覚障がいの橘佐織でした。しかし彼女は、実は谷向こうに住む満雄と結婚したものの借金だけではなくDVにも苦しんだ挙句、子どもの親権をめぐり離婚争議の最中で、取敢えず距離を置くため逃げて来ている身だったのです。 佐織に案内されながら、徐々に地域の高齢者たちと溶け込むうち、明治の中頃、その村に疱瘡が流行した折り、政府から谷向こうの者たちへ感染を防ぐため橋を落とすよう達しがあった話を聞きます。   そのとき誰もが躊躇する中、悩んだ末まず初めに立上がったのは、三軒村から後妻に来たばかりのフデで、彼女は若い時分、山伏と恋に落ちた過去を持ち、その際、村人たちから厳しい咎めにあっており、しかも佐織の夫、満雄の曾祖母でもありました。 そんな過去のエピソードが現在の物語と絡まりながら解き明かされていくうちに、斉藤は長い歴史の中で様々な状況の変化や制度の変遷の中にあっても、地に足をつけ生きてきた村人たちのたくましさとしたたかさを感じずにはいられないのです。

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    『むらさだめ』

    宮本誠一著

    夢ブックス発行

    文芸

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    事業に失敗し自己破産した斉藤は、右足に麻痺があります。破産手続きの際、住居も手放した彼に書記官が郊外の空き家を勧めます。そこは高齢者や障がい者を対象とした通信機器利用の研究地区に指定され国からの補助が下り、最近、一人暮らしの家主が亡くなったことで書類上の穴埋めの意味も兼ねていました。
    無料で借りられる条件に快諾した斉藤でしたが、実際行ってみると谷間の橋一本で結ばれ明治から昭和、平成にかけ幾度かの合併を経ながら存続してきた限界集落であり、江戸期までは山伏の修業の地だったことを知ります。
    村に移り住んだ斉藤がまず知り合ったのは、自分より早く入居していた同じく自己破産者で聴覚障がいの橘佐織でした。しかし彼女は、実は谷向こうに住む満雄と結婚したものの借金だけではなくDVにも苦しんだ挙句、子どもの親権をめぐり離婚争議の最中で、取敢えず距離を置くため逃げて来ている身だったのです。
    佐織に案内されながら、徐々に地域の高齢者たちと溶け込むうち、明治の中頃、その村に疱瘡が流行した折り、政府から谷向こうの者たちへ感染を防ぐため橋を落とすよう達しがあった話を聞きます。  
    そのとき誰もが躊躇する中、悩んだ末まず初めに立上がったのは、三軒村から後妻に来たばかりのフデで、彼女は若い時分、山伏と恋に落ちた過去を持ち、その際、村人たちから厳しい咎めにあっており、しかも佐織の夫、満雄の曾祖母でもありました。
    そんな過去のエピソードが現在の物語と絡まりながら解き明かされていくうちに、斉藤は長い歴史の中で様々な状況の変化や制度の変遷の中にあっても、地に足をつけ生きてきた村人たちのたくましさとしたたかさを感じずにはいられないのです。

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宮本 誠一

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    • blue teen 1

      blue teen 1

      棗路キウイ著

      5次元ユーフォリア発行

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      5次元ユーフォリア発行

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    • SWEET DREAM 第二章 生ける偶像 上

      SWEET DREAM 第二章 生ける偶像 上 ※紙書籍です。新書版サイズ256p  主人公の神官の少年フリート、カーナ島の姫ミサリア、魔法剣士のルーテル、元盗賊のアルセーヌ家の娘ロバート、魔法が使えないエルフのクリーク、火の魔法を使うエルフのリリー。黄金パーティーによる本格的な冒険が、いよいよ始まります!  彼らにとって、黄金期ともいえる時期です。 目次 キャラクター紹介 ~ 神官フリートによる旅の記録 ~ 冒険に出た経緯 世界地図 第一話 サーレイの宿屋にて 第二話 サーレス王の依頼 第三話 スライム洞窟 ★MAP スライム洞窟 一階 第四話 セオリー VS ミサリア 第五話 落とし穴 ★MAP スライム洞窟 地下一階~二階 第六話 カイザー・ソード 第七話 正式な依頼 第八話 ゴブリン洞窟へ 第九話 ゴブリン洞窟の奥へ 第十話 魔術師クルウェイズ 第十一話 やり残したこと 第十二話 クリークとの会話 第十三話 海賊船探し 第十四話 海賊イテマウド 第十五話 サークレットの秘密 第十六話 事を動かす人たち 第十七話 魔王の復活 第十八話 再会 第十九話 クルウェイズの決意 第二十話 水の洞窟へ 第二十一話 水の洞窟探索 ★MAP 水の洞窟 第二十二話 レーザーレイピア 第二十三話 クラーケン 第二十四話 ラカネでの宴会 第二十五話 ルーテルの想い 第二十六話 土の洞窟 ★MAP 土の洞窟 第二十七話 アースボウ 第二十八話 魔法の壁 第二十九話 ベヒモス 第三十話 ロバートの復讐 第三十一話 カーナ島での宴会 第三十二話 リリーとの会話 第三十三話 風の洞窟 ★MAP 風の洞窟 第三十四話 ウィンドスピア 第三十五話 空中へ 第三十六話 ジン

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    • 魔城の秘密 MOTRPG1 ボイスドラマ台本

      魔城の秘密 MOTRPG1 ボイスドラマ台本 ※紙書籍です。  ギャグあり、シリアスありの楽しいファンタジー「魔城の秘密」のボイスドラマの台本です。  収録時に声優さんが使用した台本と同じ内容になります。 「魔城の秘密」の本編を凝縮しました。ボイスドラマ用に原作者が新たに書き下ろした特別シナリオもあります。

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      1,100円
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    • 一週間パイロット

       2007年から不定期に発行しつづけている「一週間パイロット」。この学級通信ならぬ個人通信を72本一挙掲載。国語教育関係のエッセイ「箱庭とサンドバック」「フリートークの中に真実がある」も収録。

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    • 大阪クラフトワーク

       批評や文学研究にいそしんでも、たいして評価されるわけでもないので、思い出話を書くことにした。  懐古趣味など、我ながらヤキが回った気もするが、幼年期の記憶は、いくら書いても尽きることはない。小説の習作のつもりでおもむいた過去への時間旅行は、意外に豊饒で、自ら掘り起こした幼年期の手触りは、悪くはなかった。(あとがきより)

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    • Flags 5

      Flags 5

      プロジェクトFUKUSHIMA!著

      プロジェクトFUKUSHIMA!発行

      2012年8月15日フェスティバルFUKUSHIMA!オープニングイベント「Flags Across Borders」と8月25日のクロージングイベント「マッシュルーム・レクイエム」に当日参加したミュージシャン、福島の人、県外の人、スタッフ、総勢400人を越える旗手によるポストカードブックです。前年の「福島大風呂敷」をリメイクした、色も形もサイズもすべて異なる約1〇〇〇本の旗から選んだ旗を手にポーズ! 暑かったあの夏、旗持つ旗手たちの凛々しくてかっこよくてチャーミングな瞬間が写っています。ぱらぱらめくると、なぜか元気になって胸のあたりが熱くなる、そんなライブな写真集です。 写真は「第二回 littlemore+BCCKS 写真集公募展」の大賞と川内倫子賞をダブル受賞した成田舞。

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    • Flags 7

      Flags 7

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