とうげのしょし

峠の書肆

冊数 3 冊

紙本 2 冊

更新 2026.08.22

ジャンル 文芸3

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ひっそり佇む、峠の本屋です。

店主「箒」が執筆した本を販売しております。

  • 『最後の花摘み 蝉しぐれ』

    峠 箒著

    峠出版発行

    文芸

    2026.08.14

    d本:62㌻ 文庫版

    ★★★★★

    -

    レビュー 0 本

    データ本

    無料

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    端整な日本語のセンテンスを集めた一冊「最後の花摘み」の続巻。随想的な創作と詩的な思索による短文、断章を綴っています。一節は数行と短く内容も独立しているため、気が向いたときに開いたところをパラパラ読んでも楽しめます。 ※この本は、既刊「最後の花摘み」の続巻で未完結です。まだ途上のため、「最後の花摘み」の広報宣伝も兼ねて無料公開しています。お気に召しましたら「最後の花摘み」のほうも是非手にとってみてください。 --------------------------------------- 花は落日に燃え。うつくしく青ざめた夕暮れが行き場を失ってさまよう。 たとえば整ったかたちの指先に塗られた爪色の、深みと鮮やかさだけが信じられる。それが誓いとは無縁だから。曖昧な現実感への片思い。それだけが私たちの交わせるすべてだ。 曇天と日々の渦。 希望は首を括り、讃歌は蒼褪め、栄光は逃げ出そうとしている。 この残酷な世界で、私たちは問うことしか許されないのでしょうか。断崖に咲くカトレアのように。答えは摘み取られる前に朽ちてゆきます。私たちは一等うつくしく、残酷に降るこの雨にきっとこれからも打たれつづけるのです。 いつか愛した指先も、ひさしくなぞった面影も、「さよなら」はそのぜんぶに背を向けて屋上から身を投げる。 赤と橙で編んだ金魚。記憶のあやとり。 ──記憶を回遊する春 ──白んだ空に揮発する夏 ──映写機から投影される秋 ──明滅をくりかえす冬 助言というもの自体がそもそもいびつで不完全なものです。誰も相手のすべてを知り得ないし、もしもあらゆる背景や状況を考慮して語られるアドバイスがあるとしたら、それは唯一イコール何も語らないことです。他愛ない個人的な動機で語られる言葉に意味があります。 白く曇った窓に指先でねがいをしるす。誰かに見られたら叶わないから、見つかるまえにもう一度指先でなぞって消す。そうやってあなたに見つからないままのねがいを私はもうじゅうねん持ちつづけている。 炭酸水に沈む、自罰感情とレモン。 息も絶え絶えな内省が仰ぎ見る視界には、匿名の住人たちが振り下ろした正しさで撲殺された死体が山と積まれている。 孤独には等高線が引けない。 出来ることと、出来ないことが明確になっていくが、それは敗北ではない。 退屈な「愛している」を出し抜いて、その場かぎりの「好き」が略奪する。 君臨する、簒奪者としての夏。 紅茶 / セロファン / 明度を落とした照明 / うずくまる猫 ──本文より抜粋

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    『最後の花摘み 蝉しぐれ』

    峠 箒著

    峠出版発行

    文芸

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    端整な日本語のセンテンスを集めた一冊「最後の花摘み」の続巻。随想的な創作と詩的な思索による短文、断章を綴っています。一節は数行と短く内容も独立しているため、気が向いたときに開いたところをパラパラ読んでも楽しめます。

    ※この本は、既刊「最後の花摘み」の続巻で未完結です。まだ途上のため、「最後の花摘み」の広報宣伝も兼ねて無料公開しています。お気に召しましたら「最後の花摘み」のほうも是非手にとってみてください。

    ---------------------------------------

    花は落日に燃え。うつくしく青ざめた夕暮れが行き場を失ってさまよう。

    たとえば整ったかたちの指先に塗られた爪色の、深みと鮮やかさだけが信じられる。それが誓いとは無縁だから。曖昧な現実感への片思い。それだけが私たちの交わせるすべてだ。

    曇天と日々の渦。

    希望は首を括り、讃歌は蒼褪め、栄光は逃げ出そうとしている。

    この残酷な世界で、私たちは問うことしか許されないのでしょうか。断崖に咲くカトレアのように。答えは摘み取られる前に朽ちてゆきます。私たちは一等うつくしく、残酷に降るこの雨にきっとこれからも打たれつづけるのです。

    いつか愛した指先も、ひさしくなぞった面影も、「さよなら」はそのぜんぶに背を向けて屋上から身を投げる。

    赤と橙で編んだ金魚。記憶のあやとり。

    ──記憶を回遊する春
    ──白んだ空に揮発する夏
    ──映写機から投影される秋
    ──明滅をくりかえす冬

    助言というもの自体がそもそもいびつで不完全なものです。誰も相手のすべてを知り得ないし、もしもあらゆる背景や状況を考慮して語られるアドバイスがあるとしたら、それは唯一イコール何も語らないことです。他愛ない個人的な動機で語られる言葉に意味があります。

    白く曇った窓に指先でねがいをしるす。誰かに見られたら叶わないから、見つかるまえにもう一度指先でなぞって消す。そうやってあなたに見つからないままのねがいを私はもうじゅうねん持ちつづけている。

    炭酸水に沈む、自罰感情とレモン。

    息も絶え絶えな内省が仰ぎ見る視界には、匿名の住人たちが振り下ろした正しさで撲殺された死体が山と積まれている。

    孤独には等高線が引けない。

    出来ることと、出来ないことが明確になっていくが、それは敗北ではない。

    退屈な「愛している」を出し抜いて、その場かぎりの「好き」が略奪する。

    君臨する、簒奪者としての夏。

    紅茶 / セロファン / 明度を落とした照明 / うずくまる猫


    ──本文より抜粋

    データ本:無料

  • 『雪とストロベリー』

    峠 箒著

    峠出版発行

    文芸

    2024.02.08

    d本:160㌻ 文庫版

    紙本:160㌻ 文庫版 モノクロ

    ★★★★★

    -

    販売数 24 冊

    レビュー 0 本

    データ本

    770円

    紙本

    1,056円

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    実験的に書き上げた六十四の小篇集。一話一話がとても短く、数分で読み切ることができる超短篇ばかり収録されているため、眠る前、移動中などの細切れ時間にも最適。厚い本が苦手な方にも読みやすくなっています。ちょっとした隙間の時間にすぐ読め、すぐ完結します。勉強の合間に。旅のお供に。 --------------------------------------- 『夢を見るパン』 『コレクター』 『棺』 『ため息のように白い』 『恋人手帳』 『奇病』 『若き昏睡の医師』 『埋葬と忘却のバラード』 『八季』 『哀愁のレプリカ』 『かなしみという名の子犬』 『ジョーカー』 『薔薇と微笑』 『アノニミティ』 『硝子羽衣』 『具象と抽象のワルツ』 『深海の死神』 『鍵盤少年』 『もっと上手に』 『げげごむぐらが』 『落書き』 『もうしません』 『ガラス瓶に閉じ込めた初恋』 『ナイフ』 『蜜蜂の幾何』 『踏み切り』 『神の模型』 『俺もそう思う』 『白』 『恋姫』 『ため息、買います』ほか

    データ本
    770円
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    紙の本
    1,056円
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    『雪とストロベリー』

    峠 箒著

    峠出版発行

    文芸

    ★★★★★

    -

    実験的に書き上げた六十四の小篇集。一話一話がとても短く、数分で読み切ることができる超短篇ばかり収録されているため、眠る前、移動中などの細切れ時間にも最適。厚い本が苦手な方にも読みやすくなっています。ちょっとした隙間の時間にすぐ読め、すぐ完結します。勉強の合間に。旅のお供に。

    ---------------------------------------

    『夢を見るパン』
    『コレクター』
    『棺』
    『ため息のように白い』
    『恋人手帳』
    『奇病』
    『若き昏睡の医師』
    『埋葬と忘却のバラード』
    『八季』
    『哀愁のレプリカ』
    『かなしみという名の子犬』
    『ジョーカー』
    『薔薇と微笑』
    『アノニミティ』
    『硝子羽衣』
    『具象と抽象のワルツ』
    『深海の死神』
    『鍵盤少年』
    『もっと上手に』
    『げげごむぐらが』
    『落書き』
    『もうしません』
    『ガラス瓶に閉じ込めた初恋』
    『ナイフ』
    『蜜蜂の幾何』
    『踏み切り』
    『神の模型』
    『俺もそう思う』
    『白』
    『恋姫』
    『ため息、買います』ほか

    データ本:770円

    紙本:1,056円

  • 『最後の花摘み』

    峠 箒著

    峠出版発行

    文芸

    2025.07.29

    d本:290㌻ 文庫版

    紙本:288㌻ 文庫版 モノクロ

    ★★★★★

    -

    販売数 24 冊

    レビュー 0 本

    データ本

    981円

    紙本

    1,452円

    クーポンコードをお持ちの方はこちら

    端整な日本語のセンテンスを集めた一冊。どこか滑稽で童話的な、或いは不気味で物悲しく透き通った一行物語と、空想の上澄みを一滴一滴採集したアフォリズムを採録。加えて随想的な創作と詩的な思索による短文、断章を綴ったテキストで構成。一節は数行と短く内容も独立しているため、気が向いたときに開いたところをパラパラ読んでも楽しめます。カフカの断片・アフォリズムやペソアの断章がお好きな方にも。 --------------------------------------- 【一行物語】 毎月どこからともなく「絶対に開けないで下さい」と書かれた小包が届き、捨てることもできないので、倉庫に小包が山積みになっている。 雪の結晶が溶けるのを忘れて、夏に置き去りになっている。 もうすぐ生まれてくる子供のために、揺り籠や子供服、たくさんの玩具を用意して待っていると、ある日、臨月を迎えた母親のお腹の中から「生まれたくない、生まれたくないよ」という、かぼそい声が聞こえてきた。 円周率をどこまでもどこまでも計算していくと、ある桁を超えたところから見たこともない数字が次々と現れ始めた。 幼い日の夏につかまえた、この世で最も美しい「青」を恋人にも見せたくて、もう一度探しに行く。 冬の選挙で、候補者が乱立する地方都市の激戦区の開票をしてみると、候補者名のかわりに「罪を償え」と書かれた投票用紙が大量に入っていた。 前世で魔女にかけられた呪いのせいで、「ありがとう」と言おうとするたびに「ぞうさん」と口にしてしまう。 志半ばで亡くなったピアニストたちの霊が、深海でピアノを弾いている。 行き先を告げてから、もう十五年間タクシーに乗りつづけているのだが、いまだに目的地に辿り着く気配がない。 【アフォリズム】 天使の首を絞めて、柔らかい死神の被写界深度を抜けていく。退廃の蜜あふれる楽園で、あの日のメロディが流れてくるのを待つ。 空高く流れる浮雲を目を細めて見上げると、うっすらと墓標が立っているのが見える。天にも漂う死があるのか。誰の墓標だろう。そう思ってもう一度見上げるが、雲は流れているし、夏の陽炎のために視界が歪んで、もはや確認できない。 消去法が貴女を消してゆく。 伝えられない想いばかりが彼女を焦燥させ、疲れた彼女は自分のために紅茶を淹れた。カーテンの向こうから午後の光が射してくるとき、彼女を使い古したすべての文脈に彼女は服従しなかった。 眼球骰子 桜舞い狂う廃墟 圧縮透明 完全球体 繁殖する釣竿 影だけが徘徊する街 家庭菜園で育てるささくれ 骨壷の中に卵黄 素数に恋する少女 黒い藁人形 1ピースのパズル 湖面に映る夜桜、湖上に枯れた巨木 夜行性リモコン 充電式ドッペルゲンガー 地下へと続く書架の永久回廊 【最後の花摘み】 「貴女、つまらない正義感に囚われているのね。私は正しいことになんて興味がないの。ただ彼がいつも笑顔でいられるように、そのためにだけ私は存在するの。仮にその手段が貴女の仰るように世間一般のまっとうな倫理に反するものだとして、それがいけないことかしら?」 磔にされた優しさの処刑を見物するために、丘には大勢の人だかりができている。 予期せずして訪れる二度とない美しい感情の起伏を、言葉にして彫刻するありふれた毎日に、穏やかに水を遣り続ける。 液体フォトグラフ 花舞う水族館 人骨で建てられた六角形の館 苔に覆われた蛙 スノードームに閉じ込められた刑務所 喪失感の火葬と埋葬 指折るマシュマロ 張り詰めたタイトロープから垂れ下がった絶命寸前の諦観 災いを招く甘い水 四三一号室から呻くように聞こえる、あなたを呼ぶ声 ルビをふることのできない感情ばかりが、生まれては消える。 横殴りの優しさが君の感情をあやして、願いは昨日の果てまであまねく降り注いだ。僕は封をした幸福を君に届ける準備をしながら珈琲を飲み干すと、赤いリボンを丁寧にむすんで窓の外に広がる寒空を見上げた。 あなたが素敵であればあるほど、あなたの隣に居てはいけない。 残響 / ゆらぎ / ピアノ線 / 致死量 ──本文より抜粋

    データ本
    981円
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    1,452円
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    『最後の花摘み』

    峠 箒著

    峠出版発行

    文芸

    ★★★★★

    -

    端整な日本語のセンテンスを集めた一冊。どこか滑稽で童話的な、或いは不気味で物悲しく透き通った一行物語と、空想の上澄みを一滴一滴採集したアフォリズムを採録。加えて随想的な創作と詩的な思索による短文、断章を綴ったテキストで構成。一節は数行と短く内容も独立しているため、気が向いたときに開いたところをパラパラ読んでも楽しめます。カフカの断片・アフォリズムやペソアの断章がお好きな方にも。

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    【一行物語】

    毎月どこからともなく「絶対に開けないで下さい」と書かれた小包が届き、捨てることもできないので、倉庫に小包が山積みになっている。

    雪の結晶が溶けるのを忘れて、夏に置き去りになっている。

    もうすぐ生まれてくる子供のために、揺り籠や子供服、たくさんの玩具を用意して待っていると、ある日、臨月を迎えた母親のお腹の中から「生まれたくない、生まれたくないよ」という、かぼそい声が聞こえてきた。

    円周率をどこまでもどこまでも計算していくと、ある桁を超えたところから見たこともない数字が次々と現れ始めた。

    幼い日の夏につかまえた、この世で最も美しい「青」を恋人にも見せたくて、もう一度探しに行く。

    冬の選挙で、候補者が乱立する地方都市の激戦区の開票をしてみると、候補者名のかわりに「罪を償え」と書かれた投票用紙が大量に入っていた。

    前世で魔女にかけられた呪いのせいで、「ありがとう」と言おうとするたびに「ぞうさん」と口にしてしまう。

    志半ばで亡くなったピアニストたちの霊が、深海でピアノを弾いている。

    行き先を告げてから、もう十五年間タクシーに乗りつづけているのだが、いまだに目的地に辿り着く気配がない。


    【アフォリズム】

    天使の首を絞めて、柔らかい死神の被写界深度を抜けていく。退廃の蜜あふれる楽園で、あの日のメロディが流れてくるのを待つ。

    空高く流れる浮雲を目を細めて見上げると、うっすらと墓標が立っているのが見える。天にも漂う死があるのか。誰の墓標だろう。そう思ってもう一度見上げるが、雲は流れているし、夏の陽炎のために視界が歪んで、もはや確認できない。

    消去法が貴女を消してゆく。

    伝えられない想いばかりが彼女を焦燥させ、疲れた彼女は自分のために紅茶を淹れた。カーテンの向こうから午後の光が射してくるとき、彼女を使い古したすべての文脈に彼女は服従しなかった。

    眼球骰子 桜舞い狂う廃墟 圧縮透明 完全球体 繁殖する釣竿 影だけが徘徊する街 家庭菜園で育てるささくれ 骨壷の中に卵黄 素数に恋する少女 黒い藁人形 1ピースのパズル 湖面に映る夜桜、湖上に枯れた巨木 夜行性リモコン 充電式ドッペルゲンガー 地下へと続く書架の永久回廊


    【最後の花摘み】

    「貴女、つまらない正義感に囚われているのね。私は正しいことになんて興味がないの。ただ彼がいつも笑顔でいられるように、そのためにだけ私は存在するの。仮にその手段が貴女の仰るように世間一般のまっとうな倫理に反するものだとして、それがいけないことかしら?」

    磔にされた優しさの処刑を見物するために、丘には大勢の人だかりができている。

    予期せずして訪れる二度とない美しい感情の起伏を、言葉にして彫刻するありふれた毎日に、穏やかに水を遣り続ける。

    液体フォトグラフ 花舞う水族館 人骨で建てられた六角形の館 苔に覆われた蛙 スノードームに閉じ込められた刑務所 喪失感の火葬と埋葬 指折るマシュマロ 張り詰めたタイトロープから垂れ下がった絶命寸前の諦観 災いを招く甘い水 四三一号室から呻くように聞こえる、あなたを呼ぶ声

    ルビをふることのできない感情ばかりが、生まれては消える。

    横殴りの優しさが君の感情をあやして、願いは昨日の果てまであまねく降り注いだ。僕は封をした幸福を君に届ける準備をしながら珈琲を飲み干すと、赤いリボンを丁寧にむすんで窓の外に広がる寒空を見上げた。

    あなたが素敵であればあるほど、あなたの隣に居てはいけない。

    残響 / ゆらぎ / ピアノ線 / 致死量


    ──本文より抜粋

    データ本:981円

    紙本:1,452円

店主 箒

だいたいは店先で茶を啜りながら、本を読んだり書き物をしたりして居ります。

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